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「泥靴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

泥靴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
ごしごしと洗った。清逸は同情なしにではなく、じっと淋しくそれを見やった。 弟が泥靴のままでぬかるみの中をかまわず歩いてゆく間に、清逸は下駄をいたわりながら、遅....
逆行」より 著者:太宰治
の百姓を殺そうと思った。 ――出ろ。 そう叫んで、私は百姓の向う臑《ずね》を泥靴で力いっぱいに蹴《け》あげた。蹴たおして、それから澄んだ三白眼をくり抜く。泥....
春の盗賊」より 著者:太宰治
難にしても、たしかに数数の不思議があった。 だいいちには、あの怪《け》しからぬ泥靴の夢を見たことである。実に不愉快な大きな泥靴の夢を見たのである。いまになって....
街底の熔鉱炉」より 著者:佐左木俊郎
あ、あがって、押し入れにでも這入っているさ。」 「同志! 有り難う!」 青年は泥靴を脱ぎ捨てて風呂敷包みを持ったまま押し入れの中に飛び込んだ。彼は泥靴で畳の上....
演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
優への心理的影響が軽くない。 通例照明部の人たちは泥のついたコードを曳きずり、泥靴をはいたままで、殿様の書院でも江戸城の大広間でも平気で蹂躙してまわる。その後....
ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
窓枠などを照し、なにか異常はないかとさがしたが、そこには血潮も垂れていなければ、泥靴の生々しい痕もない。扉は押してもビクとも動かなかった。ではこのカフェ・オソメ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
頭を足蹴にされた。腹にも載った。胸元を踏みつけては、駆けだしてゆく。あッ、口中へ泥靴を……。 あとは、なにがなんだか判らなかった。 パタリパタリと、群衆は、....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
埃がこびりついていて、動く様子もない。裏手に小さい扉がついていて、敷居に生々しい泥靴の跡がついている。これを引張ったが、明かない。 「いいから、内側へ外して見ろ....
蠅男」より 著者:海野十三
いう二重の騒ぎになったとか、面白可笑しく記事が出ているんです。カオル嬢と上原君の泥靴の青い色からして、二人が今朝そこの泥濘を歩いたに違いないという推理を立てたの....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
科は別だった。多くの部屋を区切った扉は、次々に、バタン、バタンと突きあけられた。泥靴がベッドにとびあがった。手術台の厚い硝子は、亀裂が入った。 これが、その当....
観画談」より 著者:幸田露伴
マ、とにかく御すすぎをなさって御上りなさいまし。 しめたと思って晩成先生|泥靴を脱ぎ足を洗って導かるるままに通った。入口の室は茶の間と見えて大きな炉が切っ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
筆記の都合に依ると、椅子を下りて長靴のまま膝を組んで筆記するもあった。我々どもも泥靴のままで控えている。各地方長官さえも、モーニングコート、背広などを勝手に着て....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
エの所に百フラン余りの借りがあるんです。警視さん、考えてみて下さい。」 大勢の泥靴によごれてじめじめしてる床の上に彼女は身を投げた。そして立ち上がろうともせず....
飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
わけを主婦から訊くと、その白い目を細めてこころよく迎えてくれたのである。 私は泥靴を脱いで、炉の火に氷のような足をかざした。炉にかけた鍋の中には、何かぐずぐず....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
った。 この虎杖は露西亜領の花 「半分しか出来ておりませんよ。」 この時こそ、泥靴の、びしょ濡れの、異様奇体の団員の群集で、いっぱいに充たされた校舎であった。....