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注
「注〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
注の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
ないものはない。が、ただ、彼の視線だけは、帳場机の後の女の顔へ、さっきからじっと
注がれている。
女はまだ見た所、二十《はたち》を越えてもいないらしい。それが壁....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
浦はもう物故《ぶっこ》していたのではないかと思って、我知らず不安の眼を相手の顔に
注《そそ》がずにはいられなかった。すると子爵は早くもその不安を覚ったと見えて、徐....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
た。二人は墓前に紅梅の枝を手向《たむ》けた。それから新しい四基の石塔に順々に水を
注いで行った。……
後年|黄檗慧林《おうばくえりん》の会下《えか》に、当時の病....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
》みの深いじょあん孫七《まごしち》は、とうにこの童女の額へ、ばぷちずものおん水を
注いだ上、まりやと云う名を与えていた。おぎんは釈迦が生まれた時、天と地とを指しな....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
た》げたまま、まともにお嬢さんの顔を眺めた。お嬢さんもじっと彼の顔へ落着いた目を
注いでいる。二人は顔を見合せたなり、何ごともなしに行き違おうとした。
ちょうど....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
なっただけである。
しかし、内蔵助《くらのすけ》の笑わなかったのは、格別二人の
注意を惹かなかったらしい。いや、人の好い藤左衛門の如きは、彼自身にとってこの話が....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
から橋へ、夢のように漕《こ》いでゆく、ヴェネチアの風物に、あふるるばかりの熱情を
注いだダンヌンチョの心もちを、いまさらのように慕わしく、思い出さずにはいられない....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
はそれが意外だったように、ちらりと重そうな※《まぶた》の下から、慎太郎の顔へ眼を
注いだ。
「今はとても動かせないです。まず差当《さしあた》りは出来る限り、腹を温....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
》した。同時にまた思わず噴飯《ふんぱん》した。とにかく脚を動かす時には一層細心に
注意しなければならぬ。……」
しかし同僚《どうりょう》を瞞着《まんちゃく》する....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
に対する評価を一変する力を具えていた。僕は「ホトトギス」の雑詠に出る蛇笏の名前に
注意し出した。勿論その句境も剽窃した。「癆咳の頬美しや冬帽子」「惣嫁指の白きも葱....
「墓」より 著者:秋田滋
い気持ちが漲って来るのでした。彼女の微笑はまた、わたくしの眼のなかに狂的な悦びを
注ぎ込み、わたくしに、雀躍りをしたいような、そこらじゅうを無茶苦茶に馳けてみたい....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
ると明日ダルキ者なり、夜露にかかるは為悪し早く帰られたがよからん」との言に、「御
注意有り難し」と述べて左右に別れたれど予はなお橋の上を去りやらず。この応答に襟懐....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
友人アボットに送った手紙に、講堂の事から講師の態度の事まで細かく論じた位で、常に
注意を怠らなかった。 それから市科学会で講演するようになってから、スマートの雄....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
、小さな樽形の井戸からあふれ、きらきら光りながら草地のなかを通って、近くの小川に
注いでいた。その小川は、はんの木や小さな柳のあいだをさらさらと流れている。母屋の....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
て墓へ運ばれ、白いネクタイをかけた人たちが、彼の棺に、哀惜の言葉と、心からの涙を
注いだのである。 ところが、その死後、いつも彼が、重罪犯人の訴訟記録をしまって....