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注する
「注する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
注するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「弓町より」より 著者:石川啄木
なかった。のみならず、詩作その事に対する漠然たる空虚の感が、私が心をその一処に集
注することを妨げた。もっとも、そのころ私の考えていた「詩」と、現在考えている「詩....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
含んでいるからなんだ。つまり、いわゆる死点とは反対に、鐘鳴器特有の唸りを一点に集
注する――。言葉を換えて云うと、その壁面と云うのが、鍵盤の前にいる伸子の耳を焦点....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
、自身の懊悩を述べ、自分の様な鈍根の者は、一切を抛擲して先ず神を見る可く全力を傾
注する勇気が無い、と嘆息して帰った。
其後久しく消息を聞かなかったが、今夜一年....
「映画雑感(Ⅲ)」より 著者:寺田寅彦
節約し貯蓄しておいて、稀有な有利の瞬間をねらいすまして一ぺんに有りったけの力を集
注するという作戦計画と見られた。十回目あたりからベーアのつけていた注文の時機が到....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
はない。なんとなれば彼らは深く深く生きてもはや彼らの生活の最大関心は罪の問題に集
注するところまできた。そして享楽したくても不可能な切迫した内容ばかりで生きている....
「辞典」より 著者:戸坂潤
それは意識する自我の有つ限りの意識でなければならない。観念の概念は自我の概念に集
注する。 しかしデカルトの「我考う」に於ては、自我は単に表象しているに過ぎない....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
と云ったような唯物思想を連想させる処の失業問題が消滅して、農村精神の作興に興味集
注する処の農村問題が、それに代ったわけである。 併し農村には云うまでもなく学校....
「家庭愛増進術」より 著者:岡本かの子
くしの同棲者も元来が或る信念の上に立つと従順な人間になり生活意識や情操が一所に集
注するたちと見えます。(それゆえ却ってこの信念を樹立し合わなかった昔はお互いに或....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
そしてまた同時に、芸術的製作への専心と、情熱を美しい明らかな形式のうちに統御し集
注するための必要な努力とは、精神の健康と全能力の平衡とを彼に与えて、肉体的快感を....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
重く、耳や目やすべての感覚が、酔ったようになってがんがん響いた。何物にも精神を集
注することができなかった。精神はそれからそれへと飛び回って、疲憊《ひはい》しつく....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
副官となり、ポンメルシーは少尉となった。ロディーの戦いでは、霰弾《さんだん》の雨
注する中にベルティエのそばに立っていた。「ベルティエは砲手であり騎兵であり擲弾兵....
「妖怪学」より 著者:井上円了
その作用を手の筋肉の上に発現するなり。しかして、自己はこれを信ずるの一点に心を会
注するをもって、さらにその作用を識覚せざるによる。その相開くもまたしかり。しかし....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
歩することを得るは、みなこの規則の存するによる。 つぎに第二は、意力を一方に会
注するときは、他方に不覚を生ずるの事情をいう。例えば、意を凝らして一心に読書する....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
くばし》等の眺望は今日の処あまりに不整頓にして永代橋におけるが如く感興を一所に集
注する事が出来ない。これを例するに浅野《あさの》セメント会社の工場と新大橋《しん....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
れているとのことである。尚お中村君は、折尾谷は小黒部谷の支流ではなく、黒部川に直
注する沢の名であることを話された。 七月二十八日。午前六時三十分、中ノ谷の露営地....