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「注視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

注視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
うにして葉子を自分の隣にすわらせた。 すわりずまいをただしている間、たくさんの注視の中にも、葉子は田川夫人の冷たいひとみの光を浴びているのを心地《ここち》悪い....
或る女」より 著者:有島武郎
ひとみをたじろがしつつ目を伏せてしまった。葉子はいつまでもそのデリケートな横顔を注視《みつめ》つづけた。岡は唾《つば》を飲みこむのもはばかるような様子をしていた....
演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
小道具、移動車の係などそのときの仕事に関係あるものは残らず手を休め、静粛にこれを注視している。 一、次に俳優はいったんその位置を去り、付近の自由なる場所において....
戦争中止を望む」より 著者:伊丹万作
があるか。彼らは必ず勝つという。しかしどこにその根拠がある。冷静に客観的に事態を注視せよ。我らには勝利に縁のある材料は何一つありはしない。理由もなく勝利を呼号す....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
それがすむと、彼は鞄をもう一度、そっと卓子の上へ置いた。それから、じっと鞄を注視《ちゅうし》した。 彼は小首をかしげた。 もう一度鞄を抱きあげると、上下....
火星探険」より 著者:海野十三
ぴたりと寄り添って、大きな目をぐるぐる廻し、触角を盛んにふり立てて、宇宙艇の方を注視している様子であった。 「……へ、へんな動物が見えます。沙漠の向うの、正面の....
鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
号室へ姿を隠したのだった。そして入口の蔭から、第三十九号室の有様を、瞬きもせず、注視していた。 「これは、水牛仏が、桃盗人を叩き斬ったところですよ。はははは」 ....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
、その翌日のうちに、本艇出発のニュースは全世界に拡がりました。今や本艇は全世界の注視の的となっています。報道の源は、どうもユダヤ系のものと思われる節があります。....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
ることのあまりの突飛さに、思わず大きく息をする。中尉は膝に手をおいて、帆村の唇を注視する。 「山岸さん。あなたは私の説に賛成せられるかどうかわかりませんが、この....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
枯死するように、生色なく、生気なく、しだいに自分のからだを衰弱させて行った。彼を注視している者のうちには、今度こそは本当に死ぬのではないかと気も狂わんばかりに泣....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
き上って来るのを意識した。私は昂然と頭を挙げて、まるで別人を見るようにあの小娘を注視した。小娘は何時かもう私の前の席に返って、相不変皸だらけの頬を萌黄色の毛糸の....
科学者と夜店商人」より 著者:海野十三
瞳孔を極度に縮少させ、商人が売っている品物のあらを発見し得るほど充分永く、行人の注視を許さないという商人の商略から来ていることだった。 科学者はこの人波をわけ....
」より 著者:犬田卯
を見廻した。おせきは少々上り気味で、誰と誰がどこに突っ立っていて、誰が米俵の方を注視していたか、そのときは識別しなかったが、あとで考えると、「米は何俵あったかね....
幼き頃の想い出」より 著者:上村松園
ますのは、評判の呼び物は勿論でございますが、それよりも片隅に放擲されて、参観者の注視から逸して淋しく蹲って居る故も解らぬ品物でございます。そこに私はゆくりなく慎....
妖怪談」より 著者:井上円了
外にあらわる」と言えるごとく、被術者のすべての思いは今胸にみちみちておって、その注視する文字によりて、思いは外にあらわれ、執術者の目に手に心に通ずるのです。この....