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泰平
「泰平〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
泰平の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
うな静かさだった。毎日午前だけ講演に行った私は、午後と夜とをこの座敷で、はなはだ
泰平に暮す事が出来た。が、同時にまた、参考書と着換えとを入れた鞄のほかに何一つな....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
》をもって大砲を鋳《い》たのも、危急の際にはやむをえないことかもしれない。しかし
泰平の時代に好んで、愛すべき過去の美術品を破壊する必要がどこにあろう。ましてその....
「二つの道」より 著者:有島武郎
によってわずかに二つの道というディレンマを忘れることができた。そして人の世は無事
泰平で今日までも続き来たった。
しかし迷信はどこまでも迷信の暗黒面を腰にさげて....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
る工夫が先きでござりまする。その禍いを見て諸人が悔いあらたむれば天下はおのずから
泰平、二度の禍いのあらわりょう筈はござりませぬ」 「それもそうじゃな」と、頼長は....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
題、南町の桐楊塾は、監督が祖母さんで、同窓が嬢たちで、更に憚る処が無いから、天下
泰平、家内安全、鳳凰は舞い次第、英吉は遊び放題。在学中も、雨桐はじめ烏金の絶倍で....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
頓着するところではない。単にお前が殊勝な言行さえしていれば、社会は無事に治まって
泰平なのだ。社会はお前を褒めあげて、お前に、お前が心|窃かに恥じねばならぬような....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
から甚だ迂遠な方法であるが、言論戦で選挙を争っているのです。兵器の発達が世の中を
泰平にしているのです。この次の、すごい決戦戦争で、人類はもうとても戦争をやること....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
にもいはしないのである。 映画の従業員はまったくおとなしいのである。彼らは天下
泰平の夢を見続けて、今に至るまで一つの組合さえ持たなかったのである。愚かな彼らは....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
女の大きなお臀を抱えながら、道々キスしいしいぶらぶらと市中を歩いている。 天下
泰平だ。 九 僕がフランスに着いてからの主な仕事の一つは、毎朝、パリから出るほ....
「金属人間」より 著者:海野十三
りむけることになった。 この二十日間、さいわいべつに怪しい事件も起こらず、まず
泰平《たいへい》であった。 しかしいろいろなことが、あしぶみをしていた。針目博....
「東京要塞」より 著者:海野十三
の酔漢がとびこんで来た。 「うーい、いい気持だ。な、なにもいうことはねえや。天下
泰平とおいでなすったね」 取りとめもない独白のあとは、鼻にかかる何やら音頭の歌....
「雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
であるといつていい。しかも著名な俳優の大部分は無声映画時代の好運にあまやかされて
泰平の夢をむさぼるになれているから、いまさら年期を入れ直して勉強を始めるような殊....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
。これが呼びものの細工ですとさ。 工芸も、何ですか、大層に気を配って、……世の
泰平をかたどった、諫鼓――それも打つに及ばぬ意味で……と私に分るように、天狗様は....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
も多少の愛を施す等、またわが歳末のごとし。地方の停車場などには当日に限り、「天下
泰平、武運長久、鉄道会社千秋万歳」と題示せるあり。これまた、わが国風に異ならず。....
「古事記」より 著者:太安万侶
の高千穗の宮においでになつて御相談なさいますには、「何處の地におつたならば天下を
泰平にすることができるであろうか。やはりもつと東に行こうと思う」と仰せられて、日....