洋紅[語句情報] » 洋紅

「洋紅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

洋紅の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一房の葡萄」より 著者:有島武郎
るような海の藍色《あいいろ》と、白い帆前船などの水際《みずぎわ》近くに塗ってある洋紅色《ようこうしょく》とは、僕の持っている絵具《えのぐ》ではどうしてもうまく出....
戦争のファンタジイ」より 著者:吉行エイスケ
「――と、云うと?」「――女房だ。」 街に展いた窓の出張《でっばり》に置かれた洋紅色の花鉢を寝台の枕もとに持ってくると、夜の女は眸《ひとみ》の快楽のために、 ....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
ながめたりした。 煮売屋に据えてある酒樽の商標や、下げてあるビラの種類を見た。洋紅《ようこう》で真赤に染めてあるウデ蛸《だこ》の顔をながめた。 どれを見ても....
伊太利亜の古陶」より 著者:宮本百合子
落着いた艶に、木目の色を反射させている。その前に、紫檀の脚に支えられ、純粋極る東洋紅玉のような閃きを持った皿が、一枚、高貴な孤独を愉しむようにゆったり光を射かえ....
木魂」より 著者:夢野久作
中程には、散り残った山桜が白々と重なり合っていた。朗らかに晴れ静まった青空には、洋紅色の幻覚をほのめかす白い雲がほのぼのとゆらめき渡って、遠く近くに呼びかわす雲....
試験管」より 著者:寺田寅彦
テーブルの横の台の上に、ガラスの水槽が一つ置いてあって、その中にただ一匹の美しい洋紅色をした熱帯魚が泳いでいた。ベタ・カンボジャという魚らしい。それがただ一匹で....
藤棚の陰から」より 著者:寺田寅彦
|鉢買って来て露台のながめにしている。芋の葉と形はよく似ているが葉脈があざやかな洋紅色に染められてその周囲に白い斑点が散布している。芋から見れば片輪者であり化け....
身辺打明けの記」より 著者:宮本百合子
あります。それに瑠璃色の硯屏と白い原稿紙、可愛い円るい傘のスタンド、イギリス産の洋紅に染めつけた麻の敷物なぞ、どれもわたくしの好きなものばかりです。 ....
病院風景」より 著者:寺田寅彦
つむ真昼の寒い霧。向うから幸福な二人連れが来てすれちがう。また向うからただ一人、洋紅色のコートを着た若い令嬢が俯向いたまま白いショールで口を蔽うて、ゆっくりゆっ....
札幌まで」より 著者:寺田寅彦
つり咲いていたカンナが、今頃になって一時に満開の壮観を呈している。何とか云う名の洋紅色大輪のカンナも美しいが、しかし札幌円山公園の奥の草花園で見た鎗鶏頭の鮮紅色....
美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
る。殊に今日まで褪色もしないでいる紺青|臙脂の美は比類がない。アニリン剤の青竹や洋紅に毒された世界近代の画人は此の前に愧死するに値する。東京在住の人は帝室博物館....