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「洞穴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

洞穴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
犬と笛」より 著者:芥川竜之介
しかない大男が現れて、 「お前は仲々笛がうまいな。己《おれ》はずっと昔から山奥の洞穴《ほらあな》で、神代《かみよ》の夢ばかり見ていたが、お前が木を伐《き》りに来....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
兼ねたのか、自分も水だらけな袖をまくると、幅の広い肩を聳《そびや》かせて、まるで洞穴《ほらあな》を出る熊のように、のそのそとその連中の中へはいって行った。そうし....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
… 2 日本の南部の或山みち。大きい樟《くす》の木の枝を張った向うに洞穴《ほらあな》の口が一つ見える。暫《しばら》くたってから木樵《きこ》りが二人。....
或る女」より 著者:有島武郎
休らいながら飛びながら、上《のぼ》って行く火の子のように、葉子の幻想は暗い記憶の洞穴《ほらあな》の中を右左によろめきながら奥深くたどって行くのだった。自分でさえ....
或る女」より 著者:有島武郎
だけまっ黒なままでいつまでも輪郭を見せないようだった。いわば人の形をしたまっ暗な洞穴《ほらあな》が空気の中に出来上がったようだった。始めの間《あいだ》好奇心をも....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
そのそと小屋の中に這入って行った。妻は眼に角《かど》を立てて首だけ後ろに廻わして洞穴のような小屋の入口を見返った。暫《しば》らくすると仁右衛門は赤坊を背負って、....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
スペインにおけるいわゆるマグダレニアン時代(Magdalenien-Zeit)の洞穴で発見された非常に写実的な絵画の類は約五万年昔のものと推定されている。そうし....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
うのは、心が冴えて寝られぬのである。 掻巻を引被れば、衾の袖から襟かけて、大な洞穴のように覚えて、足を曳いて、何やらずるずると引入れそうで不安に堪えぬ。 す....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ずっしりと、覆かぶさる風に、何を話すともなく多人数の物音のしていたのが、この時、洞穴から風が抜けたように哄と動揺めく。 女中も笑い引きに、すっと立つ。 「いや....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
「何をしておる。」 「少しも売れませんわい。」 「馬鹿が。」 と夜陰に、一つ洞穴を抜けるような乾びた声の大音で、 「何を売るや。」 「美しい衣服だがのう。」....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
エタアの鉄筋が……それも、いま思うと、灰色の魔の諸脚の真黒な筋のごとく、二ヶ処に洞穴をふんで、冷く、不気味に突立っていたのである。 ――まさか、そんな事はある....
黒百合」より 著者:泉鏡花
からはたと湧かなくなった。温泉の口は、お雪が花を貯えておく庭の奥の藪畳の蔭にある洞穴であることまで、忘れぬ夢のように覚えている、谷の主とも謂いつべき居てつきの媼....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
しに、一|条の光明が射し込んで来ると同時に、自分の置かれている所が、一つの大きな洞穴――岩屋の内部であることに気づきました。私は、少なからずびっくりしました。―....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
が森に流れこむほうの側には、樫や栗の木立に野葡萄の蔓が厚くからみついて、あたりを洞穴のように真暗にしていた。この橋をわたるのは、世にもつらい責苦だった。まさにこ....
活人形」より 著者:泉鏡花
きこと言わむ方無し。とこうして道のほど、一町ばかり行きける時、遥に梟の目のごとき洞穴の出口見えぬ。 この洞穴は比企ヶ谷の森の中にあり。さして目立つほどのものに....