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洞門
「洞門〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
洞門の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
一刀の目くぎを湿した。彼は、心のうちで、生来初めてめぐりあう敵の容貌を想像した。
洞門の開鑿を統領しているといえば、五十は過ぎているとはいえ、筋骨たくましき男であ....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
です。――凡ての条件は、前三回と殆ど同じでした。轢殺された豚は白豚で、トンネルの
洞門みたいな猪鼻が……どうです、主働輪の曲柄にチョコナンと引ッ掛って、機関車が走....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
あくる日、廻り路をして向う岸へ行き着いて、きのうの矢を目じるしに捜索すると、石の
洞門は塵に封じられていた。松明をとって進み入ると、深さ四丈ばかりで行き止まりにな....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を踏んで行く。一丁も上って唐風の小門に来た。此処から来路を見かえると、額縁めいた
洞門に劃られた宇治川の流れの断片が見える。金剛不動の梵山に趺座して、下界|流転の....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
肉今や落ちんかと危ぶまるるに、ちょっぽりとあいた口は閉ずるも面倒といい貌に始終|
洞門を形づくり、うっすりとあるかなきかの眉の下にありあまる肉をかろうじて二三|分....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
機のように横にすべって動いていく。そうしてヘリコプターは、山腹にあけられた大きな
洞門の中へ吸いこまれてしまった。 それから間もなく、動く滑走路は停った。そして....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
ない。自分の足音さえ聞えないのだ。 ぐるっと山のふもとをまわりこむと、目の前に
洞門《どうもん》があらわれた。 「ああ、あんなものがある」 正吉はびっくりした....
「怪塔王」より 著者:海野十三
別のこの明かるい洞窟のなかに浮かび出たのです。そこはどうやら海からすぐ入りこんだ
洞門らしいのです。 おそらく彼の体は、海中へ注ぐ潮に流されていくうち、狭くなっ....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
と笑い出した。小さいのは喫驚《びっくり》して跳ね上り、洞の中に潜り込んだ。親兎は
洞門の口まで跟《つ》いて行って、前脚で子供の脊骨を押し、押し込んだ後、土を掻き起....
「あなたも私も」より 著者:久生十蘭
だった。 崖の上で見ていると、波の下に沈んだ青年のからだが、青白い線をひいて、
洞門へ吸いつけられていったようだったが、磯の低いところにいた警官たちには、見えな....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
一同はまるでなつかしい校庭で遊びたわむれているときのように競技にむちゅうである。
洞門の前の小岩にこしをかけて、一同の嬉々とするさまを見まもっていたゴルドンは、ニ....
「昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
やがて、『富士』は、しずかに、渦巻を残して沈んで行った。 月夜の怪 秘密の
洞門をくぐって、碧海島を出ると、ぽっかりと月の明るい海へうき上り、そのまま北へ北....
「三国志」より 著者:吉川英治
の乗っている馬の尻に、びゅんッと凄い音がした。彼の姿はとたんに馬もろとも、火焔の
洞門を突破して行った――と見るや否、曹操も、戟をもって火塵を払いながら、どっと焔....
「三国志」より 著者:吉川英治
えて、進路を後へ引っ返してきた。 ところが、途中、聳え立つ岩山の横をくり抜いた
洞門のてまえまで来ると、張任の一手が上から岩石や矢をいちどに注ぎ落した。 「だめ....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
ものと私は考えている。鐘釣温泉の湯壺に浸ったことのある人は、温泉の湧き出している
洞門の岩壁が更に大きく穹窿状に拡がろうとする目の高さの処に、慶応三卯八月 山奉行....