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洩り
「洩り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
洩りの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
却して、得たるところは皆無に近かりし証拠は、この神殿が雨風のために破損を生じ、雨
洩りて神体を汚すまでも久しく放置し、神職を詰《なじ》るに、全く修繕費金なしとのこ....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
の木目《もくめ》か、妙な模様が出ているぜ」と暗に主人を促《うな》がす。「無論雨の
洩りさ」と主人が答えると「結構だなあ」と迷亭がすまして云う。鼻子は社交を知らぬ人....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
。 狭い裏梯子から、風呂場や厠《かわや》に行くようになっていた。その裏梯子に雨
洩りがしていたし厠への廊下は、しぶきをとばして雨が落ちかかっている。階下には、様....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ハタと膝折りたる、そのまま手を伸べて小窓の戸|閉したり。月の明り畳に失せて、透間
洩りし木の葉の影、浮いてあがるようにフト消えて見えずなりぬ。一室の内|燈の隈なく....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
それに押し流されて行くのが見られた。 半ば毀《こわ》れた藁屋根からは、諸方に雨
洩りがしはじめ、明はそれまでの場所に立っていられなくなって、一歩一歩後退して行っ....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
じみと哀を覚えるは、夕顔の巻、「八月十五夜、くまなき月影、隙多かる板屋、残りなく
洩り来て」のあたり、「暁近くなりにけるなるべし、隣の家々、あやしき賤の男の声々め....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
、おもて通りの駒形を流して行く物売りの声が、のどかに――。
しばらく、天井の雨
洩りのあとを見ていたお藤は、やおらムックリ起きあがって、手を伸ばして三味線をとり....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
をあけて見ると、段々になった石垣や田のところにいくつも滝が出来ている。うちには雨
洩りうけのバケツたらいなど出しかけてある。その後お母さんもずっと御元気です。私は....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ったこと、きっとかきませんでしたろうね。そのために直さねばならず、布地もいたんで
洩りますから。二本の傘を直すのです。一本は私が動坂の入口をさして出入りしていたの....
「文づかい」より 著者:森鴎外
げに故あることならんとおもいてうべないぬ。 入り日は城門近き木立より虹のごとく
洩りたるに、河霧たちそいて、おぼろけになるころ塔を下れば、姫たちメエルハイムが話....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
した。せっかく妾がお傘を持って、お迎えに道までまいりましたのに。……傘からは雨が
洩りましたよ。遠くで町の灯が見えていました。……小柄が落ちてはおりましたが、竹之....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
はしなかった。凍りついたように天井板の一点から彼の視線は離れなかった。そこに、雨
洩りの模様に紛れて羽目板の合せ目に遺っているのはたしかに血の拇指の跡であった。 ....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
たれど、宮居を初めよろずのかかり、まだ古びねばにや神々しきところ無く、松杉の梢を
洩りていささか吹く風のみをぞなつかしきものにはおぼえける。ここの御社の御前の狛犬....