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洩る
「洩る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
洩るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「単独行」より 著者:加藤文太郎
ゆれて不安なので下の炊事場へ退却した。しかし炊事場も大変いたんでいてあちこち雨が
洩るので一晩小さくなって寝ていた。 昭和十年一月一日 雪 ブナ小屋滞在 朝にな....
「春昼」より 著者:泉鏡花
って、ちらちら真紅に、黄昏過ぎの渾沌とした、水も山も唯一面の大池の中に、その軒端
洩る夕日の影と、消え残る夕焼の雲の片と、紅蓮白蓮の咲乱れたような眺望をなさったそ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
た。凝然と正面を見詰めていた。 敵をただ打つと思うな身を守れ おのずから
洩る賤家の月 仮字書之口伝第三章「残心」を咏った極意の和歌、――意味は読んで字....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
、たたきつけて、また笑った。 「おほほほほ、あははは、あははははは。」 八口を
洩る紅に、腕の白さのちらめくのを、振って揉んで身悶する。 きょろんと立った連の....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
となり、据眼に熟と見た、白い咽喉をのけ様に、苦痛に反らして、黒髪を乱したが、唇を
洩る歯の白さ。草に鼻筋の通った顔は、忘れもせぬ鶴谷の嫁、初産に世を去った御新姐で....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
家から、番傘を傾け傾け、雪を凌いで帰る途中も、その婦を思うと、鎖した町家の隙間|
洩る、仄な燈火よりも颯と濃い緋の色を、酒井の屋敷の森越に、ちらちらと浮いつ沈みつ....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
が面縛され、射手の第一、第二弾、第三射撃の響とともに、囚徒が固く食いしぼれる唇を
洩る鮮血の、細く、長くその胸間に垂れたるまで、お通は瞬もせず瞻りながら、手も動か....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
と投げた二の腕に、枕すともなく艶かな鬢を支えた、前髪を透く、清らかな耳許の、幽に
洩るる俯向き形、膝を折って打伏した姿を見た。 冷い風が、衝と薫って吹いたが、キ....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
爐のなかに動かせるところが、一個所かならずあるような気がします。それ以外に、隙間
洩る風のような侵入は、どこを見たって考えられないじゃない※ 探ってみて……、きっ....
「科学が臍を曲げた話」より 著者:海野十三
なく、実に電波にとっては金城鉄壁だと思われていた電気天井をばまるで籠の目から水が
洩るように、イヤそれよりもX光線が木でも肉でも透すように、超短波は電気天井をスー....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
話すうちに、何ですか、つい悲しくなって来た。」 と、眩ゆそうに入日に翳す、手を
洩るる、紅の露はあらなくに、睫毛は伏って、霧にしめやかな松の葉より濃かに細い。 ....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
は無い、徒に、水の圧力がどう変化したかを見届けようとするのだ。 八十三 少しずつ
洩る水が止んで後、久しい間、戸は依然として熱かった。 次第に時が経った、けれど幾....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
こった事件のために悲しく、淋しくされた心で寝台に仰臥しておぼつかない、カーテンを
洩るる光のなかに病むものの悲哀にうちしおれていました。硝酸銀でやかれたので傷が痛....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
に痩せて尖って、宛ら巨大なる動物が肋骨を露わした様にも見えた。其骨の尖角の間から
洩るる大空が、気味の悪いほどに澄切っているのは、軈て真黒な雪雲を運び出す先触と知....
「活人形」より 著者:泉鏡花
印し置きて、再び件の穴に入り冥途を歩みて壇階子に足踏懸くれば月明し。いずくよりか
洩るると見れば、壁を二重に造りなして、外の壁と内の壁の間にかかる踏壇を、仕懸けて....