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流し元
「流し元〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
流し元の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「百合」より 著者:芥川竜之介
の金三《きんぞう》が汗ばんだ顔を光らせながら、何か大事件でも起ったようにいきなり
流し元へ飛びこんで来た。
「今ね、良ちゃん。今ね、二本芽《にほんめ》の百合《ゆり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いて流れていた。 とても割り込んで坐るような席はないので、半七は台所へ廻って、
流し元のあがり框に腰をかけていると、ひとりの女房が手あぶりの火鉢を持って来てくれ....
「十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
も姿が見えませなんだゆえ、不審に思いましてあちらこちら探しておりますると、突然、
流し元の水甕でポチャリと水の跳ねた音がありましたのでな、何気なくひょいと覗いて見....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
っかっと起こって、自在鍵につるした鉄瓶はつねに煮えくりかえっていた。その向こうは
流し元で、手桶のそばに茶碗や箸が置いてあった。棚には桶と摺り鉢が伏せてあった。 ....
「足迹」より 著者:徳田秋声
たちは餉台の周りに居並んで、てんでんに食べ物を猟っていた。 母親は手元の薄暗い
流し元にしゃがみ込んで、ゴシゴシ米を精いでいた。水をしたむ間、ぶすぶす愚痴を零し....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
偽言は一切いうべからず
一 火の要心を怠るべからず
一 掃除に成丈注意すべし
一
流し元と掃溜とは気をつけて衛生に害なきよう且|肥料にすべき事
一 家具の傷みと障....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
芝居の牢屋の面影がある。後の方の格子には障子が立てられて、その障子の内にタタキの
流し元と便所とが並んでいる。便所のところには板でこしらえた小さい屏風のようなもの....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
時分だから検査と云うことがないから梅毒で鼻の障子が失なって、店へも出られないので
流し元を働いておりましたが子供の時分から此の楼におりますので、馴染では居るし、人....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なお黙ってしきりに栗をゆでていたが、栗もかなりゆだったと見たから、大鉄瓶をさげて
流し元へ、その湯をこぼしに行きました。湯をこぼして小笊《こざる》の中へ栗を入れて....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
》れ……ところが、どうだ、悪いことはできねえもんだなあ、この晒の切れが、ちゃんと
流し元に落っこっていたやつを、人もあろうにこの道庵に見つけられちまった」 何か....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ってもよろしうございますか」 「どこからでもよいから、早く来て手を貸して下さい」
流し元のあたりで頻《しき》りに呼ぶものだから、忠作は大急ぎで行って見ると、一人の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
性《むしょう》に嬉しいものでした。家を見て廻ると、あなた、驚くじゃありませんか、
流し元の窓や、唐紙《からかみ》の破れを繕《つくろ》った反古《ほぐ》をよくよく見る....
「やもり物語」より 著者:寺田寅彦
る。主婦は時々鉢巻をして髪を乱して、いかにも苦しそうに洗濯などしている事がある。
流し元で器皿を洗っている娘の淋しい顔はいつでも曇っているように思われた。 二、....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
出しから、判箱を出して、書留用紙に判を押して返した。 圭子が茶の間に、帰っても
流し元で、シャアシャアと水の音がするばかりで、母は戻っていなかった。 新子から....
「おせん」より 著者:邦枝完二
ちち。 行燈はともしたままになっていたが、外は既に明けそめたのであろう。今まで
流し元で頻りに鳴いていた虫の音が、絶えがちに細ったのは、雨戸から差す陽の光りに、....