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「流し場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

流し場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
」 鸚鵡《おうむ》返しにこんな挨拶をしながら、薬局生はうずたかい柚をかきわけて流し場へ出た。それから水船のそばへたくさんの小桶をならべて、真っ赤にゆでられた胸....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
うに笑いながら雛を見ている。 奈々子もそれを見に降りてきたのだ。 井戸ばたの流し場に手水《ちょうず》をすました自分も、鶏に興《きょう》がる子どもたちの声に引....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。薄暗いなかでよくは判らないが、その話し声が近所の下駄屋の亭主であるらしいので、流し場へ出たときに窺うと、果たして彼は下駄屋の善吉であった。 あくる朝、半七は....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
手へ廻った。浴客は皆で四人、学生らしいのが湯槽に漬っているだけで、あとはそれぞれ流し場でごしごしと石鹸を使っていた。由蔵が流してやっている老人が、いかにも心地好....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
停めたが、別に背後を振返りもせず、横に身体を動かすと、硬質陶器でこしらえた立派な流し場へ、サッと液体を滾した。すると真白な烟が濛々と立昇った。どうやら強酸性の劇....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
でしたよ。」 鸚鵡返しにこんな挨拶をしながら、薬局生はうずたかい柚を掻きわけて流し場へ出た。それから水船のそばへたくさんの小桶をならべて、真赤に茹られた胸や手....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
して熱い奴を少しばかり、湯の口にいた二、三人が一時に声を納めて言いあわしたように流し場へ飛出すと、また入れ代って二、三人、これに対しても番頭の奥の手はきまったも....
東京要塞」より 著者:海野十三
れは警察署の聴取書綴のなかから発見したものであったが、事件は築地の或る公衆浴場の流し場で、仲間同士らしい裸の客がわあわあ喋っているのを、盗み聞きしていた一|浴客....
小公女」より 著者:菊池寛
をして出て来るだろうと、待ちかまえていました。 セエラは皆の眼を避けて、真直に流し場へ行きました。ベッキイはせっせと茶釜を磨きながら、口の中で何かを口ずさんで....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
悪しき交りがそれの善き光沢を一日か二日のうちに害う★のである。諸君の証券は台所と流し場とを改造した俄か造りの貴重品室の中へ入ってしまう。そしてその羊皮紙から脂肪....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
大きな竈もその方へ移されて、別に改良した煉瓦の竈も添わっている。内井戸も出来て、流し場も取りつけられ、すべては便利になっている。 それで電燈は、出居と囲炉裏の....
岩魚」より 著者:佐藤垢石
めながら、賢彌は静かに湯のなかに脚を伸ばしていた。 暫くすると女は、湯から出て流し場へ上がり、全身をあきらかに現わした。その、うしろ姿を見て賢彌は、からだ中の....
明治時代の湯屋」より 著者:岡本綺堂
のほかに江戸以来の干葉湯というのもあった。大体の構造は今も昔も変らないが、浴槽も流し場もすべて木造で、人造石やタイル張りのたぐいは殆ど見出されなかった。併し警視....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
玉を溶かしたように美しいが、少し微温いので、いつまでも漬っていなくてはならない。流し場もなければ桶一つない、あたりに水もない殺風景なものだ。湯は温微でも風邪には....
贋物」より 著者:葛西善蔵
が台所と居間を兼ねた室である。その奥に真暗な四畳の寝間があった。その他には半坪の流し場があるきりで、押入も敷物もついてなかった。勾配のひどく急な茅屋根の天井裏に....