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流し目
「流し目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
流し目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
な戦慄《せんりつ》を覚えて、思わず腰の太刀をぬき払った。が、平六はそれを知ると、
流し目にじろりと彼の顔を見て、
「おぬしは、お頭《かしら》に付き添うていればよい....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
片隅に蹲《うずくま》って、十六人の女たちの、人目を憚《はばか》らない酔態に皮肉な
流し目を送っていた。
二十七
夜《よ》は次第に更《ふ》けて行った。空《から....
「或る女」より 著者:有島武郎
急ぎで今まで失いかけていたものを自分のほうにたぐり戻《もど》した。そして事務長を
流し目に見やって、ちょっとほほえんだその微笑には、さっきの微笑の愚かしさが潜んで....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
できる。眼については、流眄《りゅうべん》が媚態の普通の表現である。流眄、すなわち
流し目とは、瞳《ひとみ》の運動によって、媚《こび》を異性にむかって流し遣《や》る....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
まれたことを喜びでもするかのように、じいっと右門のほうをふり向いて、じいっとその
流し目にとてもただでは見られないような、いわゆる口よりも物を言い、というその物を....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
かし、右門はすましたものです。金看板のむっつり屋をきめこみながら、じろりと伝六に
流し目をくれただけで、依然あごひげを抜いては探り、探ってはまた抜いていましたので....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
なぞの狂人を引っ立てながら、ネタになるものは何一つやるまじといいたげに、憎々しく
流し目を残して、意気|昂然《こうぜん》と引き揚げていったので、当然のごとくに伝六....
「愚人の毒」より 著者:小酒井不木
と安心したような様子をした。 「すでに申し上げたとおり」 と、検事は山本医師を
流し目に見て言葉を続けた。 「二男の保一くんは久しく奥田家の出入りを禁じられてい....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
せて、何を一体どうしようと言うのか? いぶかっている退屈男の方をじろりじろりと
流し目に見眺めながら、矢場主英膳がやがてそこに取り出したのは、それらを引き出物の....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
意外な発見 「いやにひねくれた奴ですなあ」 大寺警部は戸口の方をちょっと
流し目で見て、呆れたような声を出した。 「ああいう態度は損なんだがねえ……」 ....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
ら、本来ならば、こゝでジロリのあるべきところを、あふれた色ッぽさで、クスリと私に
流し目をくれた。私は思わずヒヤリとした。まったく私は心の凍る思いで、にわかに放心....
「おせん」より 著者:邦枝完二
が示し合せて、眼をすえていようとは、夢想もしなかったのであろう。娘は落ちた団扇を
流し目に、呉絽の帯に手をかけると、廻り燈籠の絵よりも速く、きりりと廻ったただずま....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
、一体、それは何でございますの?」 呆気に取られてぽかんとしている私の顔を彼は
流し目に見やりながら、すまして答えるのだ。 「形があるものじゃありません。つまり....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
早変りして、お客さんの発信を待っています。 東京は先刻からニューヨークの横顔に
流し目を送っている。桃色の紙に『私は貴女に……しかし、貴女は?』などと書いて封筒....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
ら、 「トミーも彼に誘惑されかけた一人なんです」 十三はちらりと宮岡警部の方を
流し目で見た。それは美しく澄んだ空色だった、はてな? 空色の眼――殊によると彼女....