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「流れ渡る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

流れ渡るの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
巡査辞職」より 著者:夢野久作
かのようにギラギラと輝き並んでいた。その下に真黒く横たわる谷郷村の盆地を冷やかに流れ渡る夜風に背中を向けた草川巡査は、来るともなく深良屋敷に通ずる国道添いの丁字....
小景」より 著者:宮本百合子
々を自由に、負担なく眺め、其等の形、色、線と音との微妙な錯綜から湧き出て心の裡に流れ渡る快感、空想、美の又異った一つの分野の蓄積が、何より嬉しい私共の獲物なのだ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
間から、視野をほしいままにするわけにはゆきませんが、さっと窓を開いて、そうして、流れ渡る月光の外野を見ると、特に何物をか、しかと認め得たというわけではありません....
山の手の子」より 著者:水上滝太郎
ろ帰えろ」 と子供の声も黄昏《たそが》れて水底《みなそこ》のように初秋の夕霧が流れ渡る町々にチラチラと灯《ともしび》がともるとどこかで三味線の音が微《かす》か....
バークレーより」より 著者:沖野岩三郎
時、こは抑も何事ぞ! 高塔の上からバークレーの町々に、オークランドの家々に静かに流れ渡るその歌は。 『みどりもぞ濃き柏葉の、蔭を今宵の宿りにて……』 一高の寮....
抱茗荷の説」より 著者:山本禾太郎
そこを離れようとしなかった。こうして君子はついにこの旅芸人に連れられて旅から旅を流れ渡るようになった。 旅芸人は時候が暖かになってくると北に向かい、涼しくなっ....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
いだようになお冴えて、唇に緋桃を含んで立っていた。 つもっても知れる……世界を流れ渡る、この遍路芸人も、楽屋風呂はどうしても可厭だと云って、折たたみの風呂を持....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
なして、一座の者に離反された。彼女は自分の弟子だけを引き連れて、それからそれへと流れ渡るようになった。その晩年の十年あまりは、世の進むに連れて新旧の男優の群れに....