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浅春
「浅春〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浅春の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「透き徹る秋」より 著者:宮本百合子
桂色のにこげに包まれた幼葉を瑞々しい枝の先から、ちょぽり、ちょぽりと見せていた。
浅春という感じに満ちて庭を彼方此方、歩き廻りながら日を浴び、若芽を眺めるのは、実....
「夏遠き山」より 著者:宮本百合子
ぐみつつまだ冬枯れの密林が連った光景、そこへそのような屋根を点々と、如何にも山村
浅春の趣が深かった。葉をふるい落した樹木の線の実に卓抜した美を感じたのもここを通....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
日本の洋画というものは音楽同様にまだ模倣に寛大な時代なのでしょうか。 (3ノ三)
浅春の雪のすがすがしさと柔らかさを描こうとしたらしい絵で版がわるいから垣のむこう....
「文学的自叙伝」より 著者:林芙美子
うなものでした。小説の形式では、その年の正月から約二ヶ月、東京朝日新聞の夕刊に『
浅春譜』と云うのを発表していましたが、大変失敗の作でした。 プロレタリア文学は....
「日記」より 著者:宮本百合子
ない。奇妙な感に打たれる。 画家の驚異が分ったような心持す。 三月十日(木曜)
浅春、と云う感じが狭い庭に満つ。 樫の木にいつの間にか、下枝の葉が殖え、沈丁花....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
氷峠の登り口、坂本の宿へはまだ一、二里あろうという二軒在家の村へついたとき、もう
浅春の陽はとっぷりと暮れていた。寒い西風が、村の路に埃をあげて吹いている。 晩....
「随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
っている壮年の落語家の上を思っての詠である。もうそろそろそれから一年目になるこの
浅春、だいぶ快方に赴いたらしい手紙を本人からもらい、いかばかりか私はもちろん、平....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
る。 私が関東浪曲の甘美な感傷を溺愛するようになったのが、前に書いた大正十五年
浅春、長崎に少女期の志賀暁子君を訪れて、滞留中の金子光晴、森三千代夫妻にその醍醐....
「三国志」より 著者:吉川英治
に、春は禽が歌い、秋は落葉して、いつかここに三、四年の星霜は過ぎた。 すると、
浅春の一日。 白い山羊の背に、二箇の酒瓶を乗せて、それをひいてきた旅の老人が、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
生涯につかいきるか、それでその人の値うちもきまる」 「…………」 「そなたはまだ
浅春の蕾だ。春さえ知ってない。夏も秋も冬も知っていない。人の一生にはたくさんなこ....