浅緑[語句情報] » 浅緑

「浅緑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浅緑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
母子叙情」より 著者:岡本かの子
今日は規矩男の書斎に案内された。二階の一番後方に当った十五畳敷位の洋間である。浅緑のリノリュームが、室の二方を張った硝子窓から射し入る初夏近い日光を吸っている....
春昼」より 著者:泉鏡花
階屋の角を曲ると、左の方に脊の高い麦畠が、なぞえに低くなって、一面に颯と拡がる、浅緑に美い白波が薄りと靡く渚のあたり、雲もない空に歴々と眺めらるる、西洋館さえ、....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
湿おっている。 谷が狭くなるほど、両岸は競り合うように近くなって、洗ったような浅緑の濶葉に、蒼い針葉樹が、三蓋笠に累なり合い、その複雑した緑の色の混んがらかっ....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
に擬えた金剛石のをはじめ、紅玉も、緑宝玉も、スルリと抜けて、きらきらと、薄紅に、浅緑に皆水に落ちた。 どうでもなれ、左を試みに振ると、青玉も黄玉も、真珠もとも....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
の鴨居の中途に釣手を掛けて、十畳敷のその三分の一ぐらいを――大庄屋の夜の調度――浅緑を垂れ、紅麻の裾長く曳いて、縁側の方に枕を並べた。 一日、朝から雨が降って....
巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
上った。が、真向きの一番広い鏡面は表のマロニエの影で埋まっている。白い花を載せた浅緑の葉や、赤い花を包んだ深緑の葉の影がかたまり、盛り上り、重なり合った少しまば....
想い出」より 著者:佐藤垢石
山の山肌を包む草むらは、まだ若葉へもえたったばかりであるかも知れない。やわらかい浅緑が、真昼の陽に輝いている。 酒匂の川尻の、砂浜にくだける白い波涛は、快い響....
父の俤」より 著者:佐藤垢石
へ現わして、白い飛沫を空に撒いていた。 河原の青い玉石も、松の黒い葉も、杉葉の浅緑も、幾十年の彩を、晩春の陽のなかへ漂わせていた。 だが、優しい父はいない。....
水の遍路」より 著者:佐藤垢石
であるが、あの戦場ヶ原を取りまく大きな山々の景観には、幾度か心を惹かれた。初夏、浅緑のおおう渓のなぎさに佇めば、前白根に続いた近い斜面の叢林が美しい。 金精峠....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
縁日 柳行李 橋ぞろえ 題目船 衣の雫浅緑 記念ながら 縁日 一 先年|尾上家の養子で橘之助....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
る。霧の霽れた山はおりおり頂を見せる。足下に流るる水を筆洗に汲んで鼠色の雲を画き浅緑の岩を画く。傅彩画面の半ばにも至らぬころ、ポツリポツリと雨は落ちて来て、手に....
判決」より 著者:カフカフランツ
にゆっくりと封筒の封をし、それから机に肘をついたまま、窓越しに川をながめ、橋と、浅緑に色づいている対岸の小高い丘とをながめた。 この友達というのが、故郷での暮....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
のしほぢを見わたせば碧を分くる沖つ白波 春雨の降りそめしより片岡のすそ野のはらぞ浅緑なる かげきよき花のかがみと見ゆるかなのどかに澄める白川の水 などいう歌が所....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
具でも、あの強烈な光は出せなそうに思えた。それに犬の男根のような若芽の護謨苗や、浅緑の三尺バナナや、青くて柔かな豆の葉や、深い緑のトマトの葉、褐色の鳳梨やが、朱....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
岩峰(両門岩)の上に休んで、ふと脚下を見ると黒木の鬱蒼と茂った東沢の深い谷間に、浅緑の色鮮かな落葉松の木立が、並木状をなして稍開けたらしい河原のほとりに立ち並ん....