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浅葱色
「浅葱色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浅葱色の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「佐橋甚五郎」より 著者:森鴎外
左の手が、仰向《あおむ》けになっている甘利の左の胸を軽く押《おさ》えた。ちょうど
浅葱色《あさぎいろ》の袷《あわせ》に紋《もん》の染め抜《ぬ》いてある辺である。 ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
する。その快さ甘くときめかす匂い、芍薬畑が庭のどこかにあるらしい。 古都の空は
浅葱色に晴れ渡っている。和み合う睫の間にか、充ち足りた胸の中にか白雲の一浮きが軽....
「加護」より 著者:宮本百合子
を啣《くわ》えたまま、俥に乗った。折悪しく近所の工場の退け時で、K町の狭い通りは
浅葱色の職工服や空の荷車で夕闇も溢れるほどの混雑をしている。 その間をようよう....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
の空ながら、まだ降りそうではない。桜山の背後に、薄黒い雲は流れたが、玄武寺の峰は
浅葱色に晴れ渡って、石を伐り出した岩の膚が、中空に蒼白く、底に光を帯びて、月を宿....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
た。 「まあ、汗びっしょり。」 と汚い病苦の冷汗に……そよそよと風を恵まれた、
浅葱色の水団扇に、幽に月が映しました。…… 大恩と申すはこれなのです。―― ....
「鼠坂」より 著者:森鴎外
やら置いてあって、その奥に粟稈に半分|埋まって、人がいる。慥かに人だ。土人の着る
浅葱色の外套のような服で、裾の所がひっくり返っているのを見ると、羊の毛皮が裏に附....
「美術学校時代」より 著者:高村光太郎
ょうど王朝時代の着物のような、上着は紺色の闕腋で、頭には折烏帽子を被り、下には水
浅葱色の段袋を穿くという、これはすべて岡倉覚三先生の趣味から来たものであったが、....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
る奥秩父の連山が、十重二十重に霞の奥の果てまで連なっている。近きは紫紺に、遠きは
浅葱色に、さらに奥山は銀鼠色に。 甲武信か国師か雁坂か、武甲山か三峰か、いずれ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
幾年か立つ内にその手帳を失い、お歌も忘れました。 広いお座敷の襖が黒塗の縁で、
浅葱色の大きな紋形がぽつぽつあるのを、芝居で見る御殿のようだと思いました。お庭は....
「遠野物語」より 著者:柳田国男
り急ぎ足に昇りくるに逢えり。色は黒く眼はきらきらとして、肩には麻かと思わるる古き
浅葱色の風呂敷にて小さき包を負いたり。恐ろしかりしかども子供の中の一人、どこへ行....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
の高まりがあって、向う側は山からにじみ出した水の流れが、氷河の如く堅く凍ったまま
浅葱色に冴えていた。雑木の繁った山の裾を廻ると河は稍や右に折れて長い雪渓が始まる....