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「浜風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浜風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
合わせて、港のありかをそれとおぼろげながら見定める。そこには妻や母や娘らが、寒い浜風に吹きさらされながら、うわさとりどりに汀に立って君たちの帰りを待ちわびている....
縮図」より 著者:徳田秋声
東京の海沿いから渡ったもので、下町らしい気分があり、波の音かと思われる鼓や太鼓が浜風に伝わった。小菊はそこに七年もいたが、次第に土地の狭苦しさに堪えられなくなり....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
たっていた。 ねんねころ市 おやすみなんしょ 朝もとうからおきなされ よいの浜風ア身にしみますで 夜サは早よからおやすみよ。 あの濁った都会の片隅で疲....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
黄昏の仄明るさに、人の目を迷わして、行手を遮る趣がある。梢に響く波の音、吹当つる浜風は、葎を渦に廻わして東西を失わす。この坂、いかばかり遠く続くぞ。谿深く、峰|....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
分大胆なのが、親子とも気絶しました。鮟鱇坊主と、……唯今でも、気味の悪い、幽霊の浜風にうわさをしますが、何の化ものとも分りません。―― といった場処で。――し....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
、私の心に大きな風穴が開いてしまって、その穴から何ともいい知れないところの幽霊の浜風が吹き込んでまいります。そこで私は我慢してあの短いくの字の足が伸び上がるのを....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
つ中へ、この黒髪が倒に、髻から搦まっていようも知れぬ。あれ、そういえば、軒を渡る浜風が、さらさら水の流るる響。 恍惚と気が遠い天井へ、ずしりという沈んだ物音。....
小春」より 著者:国木田独歩
灘村に舟を渡さんと舷に腰かけて潮の来るを待つらん若者あり。背低き櫨堤の上に樹ちて浜風に吹かれ、紅の葉ごとに光を放つ。野末はるかに百舌鳥のあわただしく鳴くが聞こゆ....
」より 著者:岡本綺堂
か羽田あたりの漁師の女房とでもいいそうな風俗であった。娘はまだ十六、七で、色こそ浜風に黒ずんでいるが、眉は濃く、眼は大きく、口もとはきっと引締まって、これに文金....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
うたっていた。 ねんねころ市 おやすみなんしよ 朝もとうからおきなされ よひの浜風ア身にしみますで 夜サは早よからおやすみよ……。 やっぱり旅はいゝ。あの....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
に取っていたので、能くその顔は武家の眼に入った。 成程、弁天様より美しい。色は浜風に少しは焼けているが、それでも生地は白いと見えて、浴衣の合せ目からチラと見え....
活人形」より 著者:泉鏡花
仕方がありません。先月の半ば頃|一日晩方の事……」 この時座敷|寂として由井が浜風陰々たり。障子の桟も見えずなり、天井は墨のごとく四隅は暗く物凄く、人の顔のみ....
蒼白い月」より 著者:徳田秋声
さんがお仕事がおすみでしたら……」桂三郎は応えた。 私たちは月見草などの蓬々と浜風に吹かれている砂丘から砂丘を越えて、帰路についた。六甲の山が、青く目の前に聳....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
里も夕立しけり浅茅生に露のすがらぬ草の葉もなし (〃) 鶉鳴く真野の入江の浜風に尾花なみよる秋の夕暮れ (〃) 白川の春の梢を見渡せば松こそ花の....
小ざかな干物の味」より 著者:北大路魯山人
・あまだいなど、さかなの種類も相当のものだが、干上がりの条件として、もってこいの浜風と気温に恵まれている点が、味をよくする最大原因となっているらしい。干ものの完....