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「浮かし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浮かしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
卑怯者」より 著者:有島武郎
なるとそろそろ腹のすいたのを感じだしでもしたか、その子供は何の気なしに車から尻を浮かして立ち上がろうとしたのだ。その拍子に牛乳箱の前扉のかけがねが折り悪しくもは....
星座」より 著者:有島武郎
低い音を立てて廻る。 左の足先は階子の一番上のおどり段に頼んだが、右の足は宙に浮かしているよりしようがなかった。その不安定な坐り心地の中で詩集が開かれた。「鐘....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
やった。八っちゃんは泣かないで僕にかかって来た。投げ出していた足を折りまげて尻を浮かして、両手をひっかく形にして、黙ったままでかかって来たから、僕はすきをねらっ....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
た伊達巻で乳の下の縊れるばかり、消えそうな弱腰に、裾模様が軽く靡いて、片膝をやや浮かした、褄を友染がほんのり溢れる。露の垂りそうな円髷に、桔梗色の手絡が青白い。....
海異記」より 著者:泉鏡花
出すと、膳はひしゃげたように音もなく覆った。 「あれえ、」 と驚いて女房は腰を浮かして遁げさまに、裾を乱して、ハタと手を支き、 「何ですねえ。」 僧は大いな....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
の野郎じっと考えて居やがったけが、 と語を切ってヤコフ・イリイッチは雙手で身を浮かしながら、先刻私が譲った座に移って、ひたひたと自分に近づいた。乾きかけたオヴ....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
のつるつると、鮮かなもんでげしょう。」 「何だか危ッかしいわね。」 と少し膝を浮かしながら、手元を覗いて憂慮しそうに、動かす顔が、鉄瓶の湯気の陽炎に薄絹を掛け....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
の淀んだ処で。畑一つ前途を仕切って、縦に幅広く水気が立って、小高い礎を朦朧と上に浮かしたのは、森の下闇で、靄が余所よりも判然と濃くかかったせいで、鶴谷が別宅のそ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
あの、城が見えたっけ。 川蒸汽の、ばらばらと川浪を蹴るのなんぞは、高櫓の瓦一枚浮かしたほどにも思われず、……船に掛けた白帆くらいは、城の壁の映るのから見れば、....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
がございまして、よく出ますから。……唯今見ますけれど。」 女房は片膝立ちに腰を浮かしながら能書をいう。 「……私も読みたい読みたいと存じながら、商売もので、つ....
縁結び」より 著者:泉鏡花
。 言を折られて、謙造は溜息した。 「あなた、もし、」 と涙声で、つと、腰を浮かして寄って、火鉢にかけた指の尖が、真白に震えながら、 「その百人一首も焼けて....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
んて云うだろうと思って、気を利かして、ちょうど、あの店で、」 と身を横に、踵を浮かして、恐いもののように振返って、 「見附かったからね、黙って買って上げようと....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
さ。水打った格子さきへ、あの紫が裳をぼかして、すり硝子の燈に、頸あしをくっきりと浮かして、ごらんなさい、それだけで、私のうちの估券がグッと上りまさね。 兜町の....
式部小路」より 著者:泉鏡花
とお雛様のことを知っているから。ねえ、愛吉、」 と膳の横。愛吉に肩を並べて腰を浮かしていたのは、ついしばらくの仮の宿、二階に待つ人があるのであろう。 お夏は....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
ょう。けばが破れて、じとじとでしょう、弱ったわね、課長さん。……洋服のもっ立尻を浮かして、両手を細工盤について、ぬッと左右の鯰髯。対手が近眼だから似合ったわ。そ....