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浮び出る
「浮び出る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浮び出るの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
思えば、成程思い当る事もないではない、曩日の彼の愚痴の繰り事や、其怨恨の情は歴然
浮び出るのだった。其午後の事であった。署長庄司氏はいよ/\彼を検事局へ送るに就い....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
ある。よき文章家には、必ず隠そうとして隠し切れないであろう特色が、自らその文章に
浮び出るものである。要は明快であることだ。だが、これは一般論であって、その小説か....
「戦雲を駆る女怪」より 著者:牧逸馬
前面の波上に潜望鏡の鼻が現われる。水雷を必要としない近距離だ。ほっそりした砲塔が
浮び出る。潜航艇の舷側《げんそく》を海水が滝のように滑り落ちた。暗い水面を刷《は....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
限界につき当る、新聞は社会学的な問題としてはジャーナリズムの問題以上のものとして
浮び出ることが出来ない。なぜならジャーナリズムそれ自身が、社会学自身にとってもは....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
それは自分が存在してるというかすかな意識だった。彼はその明るみに縋りついた。上に
浮び出ると、涙ぐましいばかりの生命の光りが漲っていた。すると、僅かな気分の揺ぎに....
「山上湖」より 著者:豊島与志雄
してばかりいる。私は焚火の焔を見つめながら、佗びしい思いに沈んでいった。そこから
浮び出るようにして、あたりを見廻わすと、雨脚の廉ごしに、つき立った山腹が見える。....
「鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
った蛍が、無心に息づく度に、ぼーっと蒼白い仄な光りと共に、それが隠し絵のように、
浮び出るのであった。 蛍火が、絶入るばかりに蒼白かったせいか、その美しい貌だち....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
教なるものが人を柔化するの力あるも、剛化させる力はないものであろうかという問題が
浮び出る。 かつこの問題は一歩を進めると、彼のいう骨《ほね》っぽいとは何を意味....
「吊籠と月光と」より 著者:牧野信一
なさい。船は既にあの通りの花々しさを持って造られつつあります。『七郎丸』が海上に
浮び出ると同時に、諸君は、これまでの共和生活を挙げてわれらの船の上に移して下さい....
「審判」より 著者:カフカフランツ
に共通の利害もほとんどないんです。ときどきはあるグループで共通の利害という信念が
浮び出ることもあるんですが、すぐに間違いだということがわかってしまいます。裁判所....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
。巻十六に、 梯立の 熊来の海底に 新羅斧陥れ、ワシ かけてかけて な泣かしそね
浮び出るやと見む、ワシ などとあるのが一例であるが、これに属するものも大部分は創....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
激しい豪族間の遺族や郎党たちも、踵を追って牢人の群れに落ち、そして牢人の境界から
浮び出るべく、諸国を歩いた。 それらも武者修行者の流れの中に、多分に交じってい....