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浮ぶ
「浮ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浮ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
居りました。と、いつかわたしの顔にも、やはり微笑が浮んで参りました。しかし微笑が
浮ぶと同時に、眼には自然と熱い涙も、にじみ出して来たのでございます。
「お父《と....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
わゆる水辺建築を企画するとしたら、おそらくアアサア・シマンズの歌ったように「水に
浮ぶ睡蓮《すいれん》の花のような」美しい都市が造られることであろう。水と建築とは....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
た。と同時にあの眼つきが、――母を撲《ぶ》とうとした兄の眼つきが、はっきり記憶に
浮ぶのを感じた。が、そっと兄の容子《ようす》を見ると、兄は遠くへ眼をやりながら、....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
うに。――
九
その日以来、彼の心の中には、あの快活な娘の姿が、時々鮮かに
浮ぶようになった。彼は前にも云ったごとく、彼自身にもこう云う事実を認める事が恥し....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
つて見た沙磧図《させきず》や富春巻《ふうしゅんかん》が、髣髴《ほうふつ》と眼底に
浮ぶような気がした。
「さあ、それが見たと言って好《い》いか、見ないと言って好い....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
からと汲み上げて、釣瓶へ唇を押附けるので、井筒の紅梅は葉になっても、時々|花片が
浮ぶのであった。直に桃色の襷を出して、袂を投げて潜らした。惜気の無い二の腕あたり....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
イラー(Tylor)の伝えているものによると、大地は始めには泥のように、また水に
浮ぶ油のように粘流動性であった。『そのうちにこの物質の中からアシと名づけるイチハ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
女名前のも、ほぼその容貌と、風采と、従ってその挙動までが、朦朧として影の如く目に
浮ぶではないか。 かの新聞で披露する、諸種の義捐金や、建札の表に掲示する寄附金....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
こえるのである。 ――このお話をすると、いまでも私は、まざまざとその景色が目に
浮ぶ。―― ところで、いま言った古小路は、私の家から十町余りも離れていて、縁で....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ましたが。 はて、河童野郎、身投するより始末の悪さ。こうなっては、お前様、もう
浮ぶ瀬はござりませぬ。 取られて取られて、とうとう、のう、御主人へ持って行く、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
…そう言ったものに心を奪われるが最後、つまりは幽界の亡者として、いつまで経っても
浮ぶ瀬はないことになる。で、こちらの世界で、何よりも大切な修行というのは精神の統....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
も甚だ面白くない。まるきり心霊の知識を欠ける人類は半盲人である。到底|碌な考えの
浮ぶ筈がない。私は衷心から、日本国民よ、何所に行くと叫びたい。 第三....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
なきにあらず。微苦笑とは久米正雄君の日本語彙に加えたる新熟語なり。久保田君の時に
浮ぶる微笑も微苦笑と称するを妨げざるべし。唯僕をして云わしむれば、これを微哀笑と....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
れた通り(それ以上もしなければ、それ以下もしない)用をする。考えておった事が頭に
浮ぶに従って、針金の形を変えたり、磁石をならべたり、電池を取りかえたりする。それ....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
。 この下山の途中である。ふと北の方を眺めた私は、桔梗色に澄んだ空に、ポッカリ
浮ぶ優しい山に心を引かれた。何といういい山だろう。何という可愛らしい山だろう! ....