浮世の風[語句情報] » 浮世の風

「浮世の風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浮世の風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
において、面白くないにきまっているが、これとても苦になるほどではない。ただ森本の浮世の風にあたる運命が近いうちに終りを告げるとする。(おそらくはのたれ死《じに》....
草枕」より 著者:夏目漱石
きであった。灯籠の前後には、苔《こけ》深き地を抽《ぬ》いて、名も知らぬ春の草が、浮世の風を知らぬ顔に、独《ひと》り匂うて独り楽しんでいる。余はこの草のなかに、わ....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
に罹《かか》り出した当時の有様は記憶に存しておらん、のみならずその砌《みぎ》りは浮世の風中《かざなか》にふわついておらなかったに相違ないが、猫の一年は人間の十年....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
》のために、周囲の人の丁重《ていちょう》な保護を受けて、健康な時に比べると、一歩浮世の風の当《あた》り悪《にく》い安全な地に移って来たように感じた。実際余と余の....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
ら出てくるのを待つだろう。それを思うと可哀そうなのは坑を出て来ない浩さんよりも、浮世の風にあたっている御母《おっか》さんだ。塹壕《ざんごう》に飛び込むまではとに....
沓掛より」より 著者:寺田寅彦
のも、あるいはこのへんの消息を物語るのかもしれない。 盆踊りなども、青年男女を浮世の風にあてるという意味で学校などというものより以上に人間の教育に必要な生きた....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
はもと心順なる少女なれば境によりてその情を動かすがゆえに南洋丸に乗せて一年が間、浮世の風より救い出さば必ず御顔にふさわしき天津乙女となりたもうとの事なり、われは....
夕凪と夕風」より 著者:寺田寅彦
ある。同じような異常は局部的な雷雨のためにもいろいろの形で起り得るのである。 「浮世の風」となるとこんな二つや三つくらいの因子でなくてもっと数え切れないほど沢山....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
きに叫びをあげるところであった。居間へ通じる廊下にはふとい樫の木の格子戸があって浮世の風をふさいでいるばかりでなく、風守の居室そのものが四方厚い壁や樫の木の厳重....
妾の半生涯」より 著者:福田英子
教育を受けながら、己れの虚名心に駆られて、将来有為の男児をば無残々々《むざむざ》浮世の風に晒《さら》し、なお一片|可憐《かれん》なりとの情《こころ》も浮ばず、よ....
魔都」より 著者:久生十蘭
この際背景としてまことに適切、まさに画竜点睛の趣きがあるのである。日ごろでさえも浮世の風があまり露骨には吹きつけぬ界隈。まして一月元日の夕景ともなるなれば四辺|....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
んだ。年取った父親と二人暮しの貧しい少女さ。……まだ、まるで少女なんだ。汚れ多い浮世の風には一度だって触れたことのないような。……何て云うのかなあ、こう、まるで....
猿ヶ京」より 著者:佐藤垢石
山奥の炭焼小屋も、世間並みの食糧配給を受けているに違いない。してみれば飢餓という浮世の風は、その山奥まで吹いて行こう。 だが、私はこの炭焼夫婦だけは飢え死にさ....
食道楽」より 著者:村井弦斎
々な事がございますよ。私の実家《さと》は少し地位もあり資産もあった方ですから私は浮世の風波を知らずに育って学校へ入ってからもその時分の教育法で無闇《むやみ》に突....
エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
多という事になったのであろうと思われる。 或いは自ら世を忍ぶ一つの方便として、浮世の風の十分吹き渡らぬこの部落に安全なる隠れ家を求めたものも多かったであろう。....