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浮出す
「浮出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浮出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「食魔」より 著者:岡本かの子
のものを色にしたような非情な黒に過ぎない。その黒へもって行って寒白い空閑を抜いて
浮出す拓本の字劃というものは少年の鼈四郎にとってまたあまりに寂しいものであった。....
「蝱の囁き」より 著者:蘭郁二郎
んはわからないけれど風呂に這入ったり、酒をのんだりして皮膚が赤くなると仄々と白く
浮出すのだ……恰度酒を飲むと昔の女を思い出すように…… 僕はそこに白い蛾を彫った....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
かたず》を呑んだ……と、段々明るくなって、雪江さんの姿が瞭然《はっきり》明るみに
浮出す。もう雪江さんの部屋の前へ来て、雪江さんの姿は衝《つい》と障子の中《うち》....
「農村」より 著者:宮本百合子
した時、川面から、夕もやは立ちのぼって、うす紫の色に四辺をとざす間もなく、真黒に
浮出す連山のはざまから黄金の月輪は団々と差しのぼるのである。この時、無窮と見えた....
「梅花の気品」より 著者:豊島与志雄
品の色である。 この気品の色はまた、梅花の色に見らるる。黎明や薄暮の微光の中に
浮出す、ほの赤きまでの白色、白昼の外光や深夜の闇の中に
浮出す、ほの蒼きまでの白色....
「鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
つかり合うほど肩を寄せ(彼との間は相当あったのだが、なにしろ、その二人が、夜目に
浮出す白服だったので)何か熱心に話し合いながら、真暗な夜道を、淋しい方へと撰るよ....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
女ではないだろうか。どうもその様に思われてならなかった。 壁を透かして雪の肌が
浮出すかのように感じられて、直芳は恍惚たらずにはいられなくなった。 ....