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浮名
「浮名〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浮名の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
手は「いき」と同じに他に対して積極的に媚態を示し得る可能性をもっている。「派手な
浮名が嬉しうて」の言葉でもわかる。また「うらはづかしき派手姿も、みなこれ男を思ふ....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
。二人の間にもう行く末の約束が固く取り結ばれていたのであった。しかし艶《はで》な
浮名を好まない質《たち》であるのと、もうひとつには自分よりも年下の、しかも大工の....
「家霊」より 著者:岡本かの子
ょうど、あなたぐらいな年頃だった。気の毒に、その婿は放蕩者で家を外に四谷、赤坂と
浮名を流して廻った。おかみさんは、それをじっと堪え、その帳場から一足も動きなさら....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
する男を救ったのであった。その驚きのなかにも、おかんは憎い二人の屍のうえに心中の
浮名を立たせたくなかった。彼女はそれすらも妬ましかったので、そこらに落ちている鼠....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、あんまり一貫三百ただ取りでもなかったらしく、団扇太鼓の響きと共に、それよりして
浮名の立ち初むるも多かったが、今は風俗上の取締り行届いて、この霊場を汚さんもの、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
分を暗夜に封じ籠めます。 そして、日が経つに従うて、見もせず聞きもせぬけれど、
浮名が立って濡衣着た、その明さんが何となく、慕わしく、懐かしく、果は恋しく、憧憬....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
合わず、砕いて言えば収入が少いから、かくの始末。藍染川と、忍川の、晴れて逢っても
浮名の流れる、茅町あたりの借屋に帰って、吉原がえりの外套を、今しがた脱いだところ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
までもなく小松原が望んで出た。一夜の縁のみならず、そこは、自分とあの人とがために
浮名を流した、浜田の水の源ぞと聞くからに、顔を知らぬ許婚に初めて逢いに行く気もす....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
序詞としたもので、夜が明けてからお帰りになると人に知れてしまいましょう、貴方には
浮名が立ってもかまわぬでしょうが、私には困ってしまいます、どうぞ夜の明けぬうちに....
「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:井原西鶴
の姿を自慢して男えらみ許りしてとうとう夫もきめないで身をぞんざいにしていろいろの
浮名をたてられる。親達は心配していろいろの意見するけれ共一度でも親の云う通りには....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
の証拠をつきとめたのでございます。大納言様のことでございます。大納言様の道ならぬ
浮名の恋でございます。しかも相手はとんだ賤しい田舎娘。いや、これだけはっきり尻尾....
「寡婦」より 著者:秋田滋
こういう形見を残していった人の祖父さんにあたる人は、恋愛、決闘、誘拐などと数々の
浮名をながした挙句の果に、かれこれ六十五にもなろうという年をして、自分のところの....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
られたり おしゅんは伝兵衛おさんは茂兵衛小春は俊雄と相場が極まれば望みのごとく
浮名は広まり逢うだけが命の四畳半に差向いの置炬燵トント逆上まするとからかわれてそ....
「おせん」より 著者:邦枝完二
も谷中の空に通ってはいたが、今ではお前も人気娘、うっかりあたしが訪ねたら、あらぬ
浮名を立てられて、さぞ迷惑でもあろうかと、きょうが日まで、辛抱して来ましたのさ」....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
説句を覚えていると、云って聞かせました。心中の命は卯辰山に消えたが、はかない魂は
浮名とともに、城下の町を憚って、海づたいに波に流れたのかも知れません。――土地に....