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浮沈
「浮沈〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浮沈の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
の見るべからざるまでに快転せり。乗り合いは再び地上の瀾《なみ》に盪《ゆ》られて、
浮沈の憂《う》き目に遭《あ》いぬ。 縦騁《しょうてい》五分間ののち、前途はるか....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
らぬ。天気がよければ家内らは運び来った濡れものの仕末に眼の廻るほど忙しい。 家
浮沈の問題たる前途の考えも、措き難い目前の仕事に逐われてはそのままになる。見舞の....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
米の価を気にするようなことを言うんだろう。 ほんとうに串戯ではないわ! 一家の
浮沈と云ったような場合ですからね。私もどんなに苦労だか知れないんだもの。御覧なさ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
上げてくれるであろうし、そして、それがまた日本民族の再起復興となり、われら幽界に
浮沈せる者を清らかにして安らかな祠に迎えてくれる事になるかもしれないのである。 ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
ゃならぬとはちと弱ったが……いいかネ、君。いま人間が一人、溺れ死ぬかどうかという
浮沈の境目だ。綱をしっかり持っているんだぜ」 そう云い捨てるなり、飛行服の男は....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
くしは実家のいかな盛衰にもあらわな情を見せまいとし、父はまた、父の肩に剰る一家の
浮沈に力足らず、わたくしの喜憂に同ずることが出来なかった。若き心を失うまいと誓っ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、あるいは商業を営んでいる者もあろう。あるいは農業に従事している者もあろう。栄枯
浮沈、その人々の運命に因っていろいろに変化しているであろうが、とにもかくにも皆そ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の二つだけで、それ以外の多くを訊ねる必要はないのです。これこそ、貴女にとれば一生
浮沈の瀬戸際でしょう。重大な警告と云う意味を忘れんように……」と沈痛な顔で、まず....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
馬車時代から、いま、野獣檻だけでも無蓋貨車に二十台という、大サーカスになるまで、
浮沈を共にした、情にもろい気さくな性格は、いまや名実ともにこの一座の大姐御。とい....
「地球要塞」より 著者:海野十三
が、斜めになって、沈没していた。 いろいろ観察したが、結局、米連艦隊のために、
浮沈用の水槽を破壊されていることが分った。 私は、それを見定めると、三角暗礁へ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
柄もない、短かい生涯を送ったものでございますが、それでも弟橘姫様は私の現世時代の
浮沈に対して心からの同情を寄せて、親身になってきいてくださいました。『あなたも随....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
も、なお増りながら、やや人に馴れ、世に馴れて、その芥溜といえりし間、浮世のなみに
浮沈みの、さすらいの消息の、ほぼ伝えらるるものがあったのである。 愛吉は悚然と....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
い。それ故にさらに南米に向かってはるかに旅を続けるのである。夕日は波に従って光は
浮沈し、潮風は夏をゆり動かすように暑さは上下する。行く路は赤道をすぎて気候はにわ....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
隅ッこにいる青年が美しい声に昂奮して、 「呂昇よりうまいぞ」と叫んだ 「人の心の
浮沈み――」 「よう女雲右衛門! 」と叫ぶものがある。 誰かは「美しい女を見る....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
に左右されない一定不変の法則を見出して行きたい。そのしっかりした根本方針を握って
浮沈の多い世の中に処して行きたい。その日暮しの生活知識の奥に、永遠に利息が産み出....