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浮游
「浮游〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浮游の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
さに泡影の如しというべし。 ――ここにおいて、三月六日切開手術を行い、腹水中に
浮游せる膜嚢数十個を取り出せしも、予後の衰弱のため、その日永眠せり。斯くの如く、....
「苦力頭の表情」より 著者:里村欣三
た。女は笑って、俺の汗臭い靴下を窓に捨てた。窓には、芽をふいた青い平原が白い雲を
浮游させて、無限の圧迫を加えていた。 陽はまだ高かった。 俺は放浪の自由を感....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
れは物理学的に不可能である。冷却の際に微細な塵の粒が析出すると、それはガスの中に
浮游するであろう。ガスの冷却凝縮が進行するに従って多分これらの塵はだんだんに集合....
「映画と癩の問題」より 著者:伊丹万作
思う。 私の郷里は四国であって比較的癩患者の多い地方である。そしてその大部分は
浮游癩というか、四国遍路ないしは乞食となって仏蹟を浮浪してまわっているのが多い。....
「海底大陸」より 著者:海野十三
、ゴソゴソと雑音がひびいてきた。 「ああ、ただいま右舷二千メートル附近に、怪しき
浮游物が見えまァす」 怪しき
浮游物が? いったいなんであろう。 乗組員も乗....
「わが町」より 著者:織田作之助
にはいかぬが、日本のサルベージでなくてはちょっと手が出せぬという……、そう、沈船
浮游だ。これに花井君の身体がどうしても要るのだ」 へえと他吉は感心して、さそく....
「シベリヤに近く」より 著者:里村欣三
、もう何処かに秋の気が動いていて、夏草の青い繁みに凋落の衰えが覗われる。白い雲の
浮游する平原のはてには、丘陵の起伏がゆるやかなスカイラインを、かっきりと描き出し....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
、夥しい油が浮びあがり、それに交って、見るも無惨な人間の手や足などが、ぶかぶかと
浮游している。 キンギン国の本国では、それに増して、大騒ぎであった。それも道理....
「橋」より 著者:池谷信三郎
ローズのように思いきって両手を上げ、深呼吸をした拍子に、空中に幾万となく数知れず
浮游していた蚊を、鼻の中に吸いこんでしまった。彼女は顰め面をして鼻を鳴らし始めた....
「競漕」より 著者:久米正雄
は「土左衛門だ。土左衛門だ」と叫んでいるのであった。皆はこの時只黒い棒杭のような
浮游物を瞥見した。やがてこんな時に迷信を持ちたがる久野が「今日は勝った」と言い出....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
から求められ得ないが、国際的な関係の現れとしての北支那海に於ける英仏独露の軍艦の
浮游が報じられてある。独歩は、それについて何等の説明も附してはいないし、或は気が....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
も分かぬ、虚空の彼方にぎらぎらと放散しているんだ。定かならぬ浮雲のごとく天の原に
浮游しているんだ。天雲の行きのまにまに、ただ飄々とただよっている…… 小野 (深....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
枝葉を大空に向けて爆裂させ、押し拡げして、澄み渡った中天の空気へ鮮やかな濃緑色を
浮游させて居る。立ち並ぶそれらの大樹の根本を塞ぐ灌木の茂みを、くぐりくぐってあち....
「三つの痣」より 著者:小酒井不木
その中にタイロード氏液と称する透明の液を入れ、腸管の両端を糸でしばって液中に縦に
浮游せしめて下端を器の底に固定し、上端を糸で吊り上げ、糸の先に梃子をつけ、腸の運....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
った。これは当時真に戸籍なくして乞食のために天幕を張りつつ、漂泊に一生をすごした
浮游の民の傀儡師の類とは全く別のものである。いわば殿様的|贅沢であった。 ただ....