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浮草
「浮草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浮草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
台の前へ立ちましたが、女の癖に黥《いれずみ》があります。元来此の女は山《やま》の
浮草《うきくさ》と云う茶見世へ出て居りました
浮草《うきくさ》のお浪《なみ》という....
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
、僕はいつでもそのことを憶《おも》い出すんです。僕一人が世間に住みつく根を失って
浮草のように流れている。そしていつもそんな崖の上に立って人の窓ばかりを眺めていな....
「骨を削りつつ歩む」より 著者:佐左木俊郎
句《あげく》にはまた、私は複雑した関係から市役所を馘首《くび》になり、妻と二人で
浮草のように漂泊しなければならない身となった。そして遂には、寒い真冬を目がけて北....
「世相」より 著者:織田作之助
だというのに、二十前後のように見える。いつまでも一本立ち出来ず、孤独な境遇のまま
浮草のようにあちこちの理髪店を流れ歩いて来た哀れなみじめさが、ふと幼友達の身辺に....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
涙を、また湖水へ捨てました。なんと悲しいではございませんか。三杯の涙! 壺三杯!
浮草の身の白拍子、それが一人の男を恋し、流した涙でございます。でまた舟は波に漂い....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
ない議論をされてはやかましくていけない。一人で雪の中に立てば自分の馬鹿がわかる。
浮草のような根のない理窟が馬鹿げてくる。もっと子供になったほうがいい。自分の頭の....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
中の露西亜人の長靴や、破れズボンにぶちつけながら、 「そうだとも! 兄弟。ふん、
浮草みたいに何処をうろつこうともだ。いいか! 根なし草じゃあるまいし、ちゃんと住....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
誉かお金か、どっちか自由にならなけりゃ、窮屈な女房づとめの意味がないというのだ。
浮草稼業の政治家だの芸術家はいくら有名でもいつ没落するかも知れないし貧乏で浮気性....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
的な町だ。織姫の町で、女の方が金銭的に主役であるというばかりでなく、織物業という
浮草家業の性格が本質的に女性的なのである。景気不景気の変動が激しく、浮き沈みがは....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
かしたものであるが、こういうバカげた大勘定をつきつけられたことはない。 浅草の
浮草稼業の役者仲間に、ハライ魔という言葉がある。私などがその筆頭なのである。酔っ....
「謡曲と画題」より 著者:上村松園
。 御題は「水辺の草」というのですが、小町の作った歌は、 蒔かなくに何を種とて
浮草の 波のうね/\生ひ茂るらむ というのですが、腹の黒主はそれをこっそ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
世間の賃訳をするもののような無責任にはなれないのが二葉亭の性分であった。例えば『
浮草』の如き丁度関節炎を憂いて足腰が起たないで臥ていた最中で、病床に腹這になって....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
生箱を開いた。 破れかかった家は、水に臨んでその暗い影を映している、水の中には
浮草の葉が漂うている。日は山蔭にかくれて、池の面を渉る風は冷い。半ば水に浸されて....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
の形を成す。毛氈苔一面に生いて、石を踏み尽したる足の快さ言わん方なし。岸に近く、
浮草にすがりて、一羽の蜻※の尾を水面に上下するを見る。卵を生むにや。試に杖にて追....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
を埋めて――鰌のするように、変化の多い周囲の情況を眺めていた。 水は透明だし、
浮草は美しいし、太陽の光線が眩いばかり、水面に照りつけると、虹のような小波が立つ....