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「浮説〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浮説の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
れていた。兼輔はむしろ関白忠通の昵懇《じっこん》であった。その関係からいろいろの浮説《ふせつ》が生み出されて、実雅と兼輔との刃傷事件は単に本人同士の意趣ではなく....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
伝える者もあった。いずれにしても、怪しい市子の怪しい死について、いろいろの怪奇な浮説がそれからそれへと伝えられているのは事実であった。 「なにしろ、すぐに行って....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
車を倒れんばかりに揺って、激しく哄笑を始めた。 「ハハハハハ法水さん、下らん妖言浮説は止めにしてもらいましょう。貴方が云われる津多子夫人は、昨朝早々にこの館を去....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
る為だといい、或者は登山鉄道でも敷くつもりではないかといった。然し、野村はそんな浮説を全然信用しなかった。というのは、二川重明は鉄道とか温泉とか鉱山とかいう企業....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
現われたのである。偶々取引所改革案のような自由な記事らしい記事が載ると、夫は流言浮説であるという流言が行なわれて、新聞記者は社自身によって馘首されたりするような....
社会時評」より 著者:戸坂潤
会議へ続くのであるが、この会議に這入るに際して、陸軍は自分の「対内国策」に対する浮説を否定して非公式に声明している。「最近世上に陸軍の対内国策案に関し、各種の浮....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
統制とを結果した。官製のニュース以外に出た社会的刺激になる報道は総て流言・飛語・浮説・と見做された。一例は『朝日新聞』経済記者のスクープによる東株暴落事件である....
震災日記より」より 著者:寺田寅彦
するから注意しろと云ったそうだ。井戸に毒を入れるとか、爆弾を投げるとかさまざまな浮説が聞こえて来る。こんな場末の町へまでも荒して歩くためには一体何千キロの毒薬、....
傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
向いた。 ――九月三日の夜……といえば、戒厳令が布かれた直後のことである。流言浮説は深刻の頂上に達していた。自戒団や避難民で街路は湧き立っている。……が、その....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
地盤をそっくり頂戴して、本家を乗っとるような策をめぐらしている、というのが信徒の浮説となっている。佐分利ヤスが隠し神の化身であるということは、妙心がいいふらした....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
・エッセン男爵に面接の栄を得たものでありますが、儂ですらも、これまではさまざまな浮説に惑わされ、艇長の死を容易に信ずることができなかったのでした。 それが、今....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
第二の妻を持ち、その婦人とは、ラヴェンナで死別したと云う噂はあったけれども、その浮説が遂に、混血児の孔雀に依り裏書された訳である。 然し、日本に戻ってからの九....
南国太平記」より 著者:直木三十五
いた。 「異国との交易を禁じておる幕府が、異国と、交通を始めるなど、いろいろと、浮説の多い時分に、幕府己の威信を、傷つけるものではないか」 と、斉興が、いい終....
四十年前」より 著者:内田魯庵
。K博士の卓説の御利生でもあるまいが、某の大臣の夫人が紅毛碧眼の子を産んだという浮説さえ生じた。 何の事はない、一時は世を挙げて欧化の魔術にヒプノタイズされて....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
情のために昧まされているだけであります。つまり可抗力的誤解です。その例は国際間の浮説、世上の噂、個人の周囲到るところに見出されます。 不可抗力と思われる誤解さ....