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「浮雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浮雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
冬の日」より 著者:梶井基次郎
その空気のなかへパッと七彩に浮かび上がる瞬間を想像した。 青く澄み透った空では浮雲が次から次へ美しく燃えていった。みたされない堯《たかし》の心の燠《おき》にも....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
る裡にカーチス機隊の上空を指して急行した。 敵のボーイング機隊が、北方に流れる浮雲の中から現われて、これを圧迫する態度を示した。 その隙に大航空船メーコン号....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
育う。それからこれを茶碗に注いで飲むのである。これまさに神酒! 晴天|爽朗なるに浮雲鱗然たるあるがごとし(一五)。その沫は緑銭の水渭に浮かべるがごとし(一六)。....
巴里の秋」より 著者:岡本かの子
クリームの寒帯から早く焼栗屋の熱帯へ……は、いらはい、いらはい。 空には今日も浮雲が四抹、五抹。そして流行着のマネキンを乗せたロンドン通いの飛行機が悠長に飛ん....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ございました。これが望みどおり円満に収まれば何の世話はないのでございますが、月に浮雲、花に風とやら、何か両家の間に事情があって、二人は何うあっても一|緒になるこ....
白光」より 著者:井上紅梅
ると寒夜の空に出現した。 青い空は一つの海のような工合で、そこにいささか見える浮雲は、さながら筆洗の中で白筆を洗ったように棚曳き、冴え渡った月は陳士成に向って....
不周山」より 著者:井上紅梅
彼女は自分の眼をこすった。 薄紅色の大空には、幾重にも千切れ千切れの薄緑の浮雲が漂い、星がその後に瞬いて光っては消え、光っては消えた。大空の果の真赤の雲の....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
が、派手やかな友禅の振袖姿で、一本の綱を渡っていた。手に日傘をかざしていた。 「浮雲浮雲い」と冷々しながら、伊太郎は娘を見守った。 「綺麗な太夫じゃありません....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
ことがないんだ。行方も分かぬ、虚空の彼方にぎらぎらと放散しているんだ。定かならぬ浮雲のごとく天の原に浮游しているんだ。天雲の行きのまにまに、ただ飄々とただよって....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ぬ橋の歩み、麗人の背後を通って、やがて渡り越すと影が放れた。そこで少時立留って、浮雲のただよう形、熟と此方を視めたが、思切った状して去った。 その傍に小店一軒....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
して、「二葉亭は哲学者である、シカモ輪廓の大なる人物である、」と激称していた。『浮雲』は私の当時の愛読書の一つで、『あいびき』や『めぐりあい』をも感嘆して何度も....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
家としての私の技術を示すためではない。かつ私が二葉亭と最も深く往来交互したのは『浮雲』発行後数年を過ぎた官報局時代であって幼時及び青年期を知らず、更に加うるに晩....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
する事も時偶はあったが、舞台の役者を土間や桟敷から見物するような心持でいた。 『浮雲』以後は暫らく韜晦して文壇との交渉を絶ち、文壇へ乗出す初めに提携した坪内博士....
明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
で、坪内君|莫かっせばあるいは小説を書く気には一生ならなかったかも知れぬ。また『浮雲』の如き世論『書生気質』以上であるが、坪内君の合著の名でなかったなら出版する....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ただ渺茫たり。赤道すでに近きにあれば、昼間短く、午後六時半、夜暗に入る。当夕また浮雲月光を遮る。甲板上にて船客の舞踏会あり。 九日、晴れ。正午、太陽まさしく頭....