浴後[語句情報] »
浴後
「浴後〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浴後の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
は、小禽《ことり》の声などが聞かれた。
「お一人でお寂しゅうございますでしょう」
浴後の軽い疲をおぼえて、うっとりしているところへ、女がそう言いながら膳部《ぜんぶ....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
わかる。歌麿《うたまろ》も『婦女相学十躰《ふじょそうがくじったい》』の一つとして
浴後の女を描くことを忘れなかった。しかるに西洋の絵画では、湯に入っている女の裸体....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
ど仕事に熱中していた。ここでも音楽浴の効きめは素晴らしかったのだ。この国では音楽
浴後一時間というものがもっとも貴重であった。すべて重大なる仕事は、超人的能力をも....
「赤外線男」より 著者:海野十三
度事件で疲れた頭脳を鳥渡やすめに来ていたところだった。仄かに硫黄の香の残っている
浴後の膚を懐しみながら、二人きりで冷いビールを酌み交わした。そのとき彼の口から、....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
夜の光が燦き入った。 喫茶店モナミは、階下の普請を仕変えたばかりで、電灯の色も
浴後の肌のように爽やかだった。客も多からず少からず、椅子、テーブルにまくばられて....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
入れ代って二、三人、これに対しても番頭の奥の手はきまったものだ。 とかくして、
浴後の褌一つに、冬をも暑がってホッホッという太息、見れば全身|宛ら茹蛸のようだ。....
「青衣童女像」より 著者:寺田寅彦
それとなく気をつけているが、この青衣少女にはめぐり会わない。夏がやって来た。夕方
浴後の涼風を求めて神田の街路をそぞろ歩きするたびにはこの「初恋」の少女の姿を物色....
「涼味数題」より 著者:寺田寅彦
絆の暑さのない所には自由の涼しさもあるはずはない。一日汗水たらして働いた後にのみ
浴後の涼味の真諦が味わわれ、義理人情で苦しんだ人にのみ自由の涼風が訪れるのである....
「貧乏」より 著者:幸田露伴
て強く帚で足を薙ぎたまう。 「こんべらぼうめ。 男は笑って呵りながら出で行く。
浴後の顔色|冴々しく、どこに貧乏の苦があるかという容態にて男は帰り来る。一体|苦....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
ども今宵はゆるやかに寝るべしと思えば船中の窮屈さ蒸暑さにくらべて中々に心安かり。
浴後の茶漬も快く、窓によれば驟雨沛然としてトタン屋根を伝う点滴の音すゞしく、電燈....
「書記官」より 著者:川上眉山
目をつけぬ。思いしごとく姿はきわめて美し。つくろわねどもおのずからなる百の媚は、
浴後の色にひとしおの艶を増して、後れ毛の雪暖かき頬に掛かれるも得ならずなまめきた....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
馨の香に包まれて。 ――きみの前だが、その時タオルも棄てたから一糸も掛けない、
浴後の立姿だ。……私はうしろ向きさ。(拳銃を肩に当よ、)と言う、(打とうと思う目....
「日を愛しむ」より 著者:外村繁
ンを取り直す。素子の軽い鼾が聞こえて来たのは、それから間もないことである。 入
浴後、私は糊のきいた浴衣を着て、庭に面して腰を下していた。入浴前に水を打っておい....
「澪標」より 著者:外村繁
私達の通された部屋は、三方に窓が開いてい、絶えず山風が吹き通って、ひどく涼しい。
浴後、私と妻は夕食の卓につく、鯉の洗い、姫鱒の塩焼、ぜんまい、きくらげなど、土地....
「松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
逅して宿を倶にす。君は真宗の僧侶にして、学識|両ら秀で尤も説教に長ぜりと。君一日
浴後居士の室に至る、茶を煮て共に世事を談ず。君|広長舌を掉い無碍弁を恣にして頻に....