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浴衣地
「浴衣地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浴衣地の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「身投げ救助業」より 著者:菊池寛
景気がよくて、二月も三月も投身者のない時には、老婆はなんだか物足らなかった。娘に
浴衣地をせびられた時などにも、老婆は今度一円五十銭貰うたらといっていた。その時は....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
こういう観世物は大抵景品付きです。無事に裏木戸まで通り抜けたものには、景品として
浴衣地一反をくれるとか、手拭二本をくれるとか云うことになっているので、慾が手伝っ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
「へへへへへ」 と、向うに控えたのは、呉服屋の手代なり。鬱金木綿の風呂敷に、
浴衣地が堆い。 二人連 十 午後、宮ヶ崎町の方から、ツ....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
湿った土の上に、斜めに突きさされた真新しい奥様の卒塔婆の前には、この寒空に派手な
浴衣地の寝衣を着て、長い髪の毛を頭の上でチョコンと結んだ、一人の異様な角力取りが....
「家」より 著者:島崎藤村
「叔父さんに買って頂いたのを、お目に懸けましょう」 と娘達は言い合って、流行の
浴衣地を叔父の前に置いた。目うつりのする中から、思い思いに見立てて来た涼しそうな....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
に、まつ屋の浴衣があったでしょう。あれどうなすって? 私一反ほしいわ。」 その
浴衣地というのは、そのころ誰かの思いつきでデパアトとタイアップで工夫されたもので....
「黴」より 著者:徳田秋声
ってくれた鯉の入れてある盥の前にしゃがんで見たり、俳友が持って来てくれた、派手な
浴衣地を取りあげて見たりしていた。産婆は自分の世話をするお終いの湯をつかわせて、....
「伸子」より 著者:宮本百合子
った。それも伸子に休安を与えた。 ある朝、風通りよい畳廊下のところで、伸子は、
浴衣地や海苔《のり》の罐などを、大きなバスケットにつめていた。昼頃の汽車で書生が....
「掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
った。 その乞食というのは汚いいざりであった。両袖をもぎ取った汚い黄色がかった
浴衣地の襤褸《ぼろ》を着て、その裾をまくった両足には、紺の股引《ももひき》らしい....
「死の前後」より 著者:豊島与志雄
台所で、板敷のところから一段ひくくなってる洗い場の前の置板の上に、おしげが、白い
浴衣地の寝間着のまま横倒しに蹲っていた。「まあ……。」つかつかと歩みよって、ばあ....
「失われた半身」より 著者:豊島与志雄
は、新しいのを買ってくれた。靴や、靴下、麻のハンカチ、ネクタイ……。箪笥の底から
浴衣地の反物を引き出して、寝間着に仕立ててくれた。彼女はおれより一つか二つ年上だ....
「白い道」より 著者:徳永直
まじかで、もう顔をそらすひまもなかった。流れのなかをいくらかめだつたかい背の白|
浴衣地がまむかいにきて、視線があったとたん、ややあかっぽい頭髪がうつむいた。 ....
「童子」より 著者:室生犀星
ちらへ序手がありましたものですから。」 手巾を開き、乳の瓶を取り出した。藍色の
浴衣地の、袖がよれ、スリ切れた履物が目立った。 「まあ、ご親切に、どうかおあがり....