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「海松〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

海松の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
O君は肩越しに僕等を見上げ、半ばは妻に話しかけたりした。成程一本のマッチの火は海松《みる》ふさや心太艸《てんぐさ》の散らかった中にさまざまの貝殻を照らし出して....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
、煤竹色《すすだけいろ》、銀煤色、栗色、栗梅、栗皮茶、丁子茶《ちょうじちゃ》、素海松茶《すみるちゃ》、藍《あい》海松茶、かわらけ茶などがあり、また一定の色合を嗜....
朱日記」より 著者:泉鏡花
い旗が飛移った、と、今見る処に、五日頃の月が出て蒼白い中に、松の樹はお前、大蟹が海松房を引被いて山へ這出た形に、しっとりと濡れて薄靄が絡っている。遥かに下だが、....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
む」 「そしてその海底には、ほら、その舵板の蝶番に喰っ附いている海草が、それは長海松と云うんだが、そいつが、一面に繁茂しているに違いない。その種の海草は、水際の....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
のお邪魔にならないようでしたら、すぐ行きますわ。」 三十分するかしないうちに、海松房模様の絵羽の羽織を着た葉子が、廊縁の籐椅子にかけて、煙草をふかしている彼の....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
。 彼は尻をからげて、莫大小の股引白足袋に高足駄をはき、彼女は洋傘を杖について海松色の絹天の肩掛をかけ、主婦に向うて、 「何卒覚えて居て下さい、覚えて居て下さ....
津軽の虫の巣」より 著者:宮本百合子
麗わしさを愛ずる者は、自ずと広大な海原を思わずにはいられない。 海原を思えば、海松のうちなびく魚族の王城を思わずにはいられない。日夜潮鳴る海を抱いて、遠く都を....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
か。 僧都 残らず身の代と?……はあ、いかさまな。(心付く)不重宝。これはこれは海松ふさの袖に記して覚えのまま、潮に乗って、颯と読流しました。はて、何から申した....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ある。もとより別荘などは影もなくなった。が、狸穴、我善坊の辺だけに、引潮のあとの海松に似て、樹林は土地の隅々に残っている。餅屋が構図を飲込んで、スケッチブックを....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
気味な、忌わしい、婆のあらもの屋の前が通りたくなさに、ちょうど満潮を漕げたから、海松布の流れる岩の上を、船で帰って来たせいであろう。艪を漕いだのは銑さんであった....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
連れ立たないのは珍らしい、まあ、ほとんど無かったろう。 浜に人影がなくなって、海松ばかり打上げられる、寂しい秋の晩方なんざ、誰の発議だったか、小児が、あの手遊....
源氏物語」より 著者:紫式部
と、これは髪そぎの祝い言葉である。少納言は感激していた。 はかりなき千尋の底の海松房《みるぶさ》の生《お》ひ行く末はわれのみぞ見ん 源氏がこう告げた時に、....
源氏物語」より 著者:紫式部
た。華奢《かしゃ》な祝品の数々のほかには実用品も多く添えて源氏は贈ったのである。海松や時ぞともなきかげにゐて何のあやめもいかにわくらん からだから魂が抜けてし....
源氏物語」より 著者:紫式部
はぜひ置かせてくれとお言いになったのでございまして、内大臣家の中将さんがこちらの海松子を前に知っていらっしゃいまして、海松子が持って参ったのでございます。だれも....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
単で、それが果たしてミルであるのか、じつのところよくは判らないのである。また俗に海松とも書いてあるが、これは中国の昔の学者が「水松、状如松釆而可食」の文に基づい....