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海潮
「海潮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
海潮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
のはやり歌をうたって見たりした。しかも「妙音観世音《みょうおんかんぜおん》、梵音
海潮音《ぼんおんかいちょうおん》、勝彼世間音《しょうひせけんおん》」を唱えた後、....
「河明り」より 著者:岡本かの子
コップを離さず、酔いに舌甜めずりをしていた。 「東北風を斜に受けながら、北流する
海潮を乗り越えつつ、今や木下君の船は刻々馬来半島の島角に近づきつつあるのです。送....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
であった。最初にこうしよう、ああしようという人間の意志があるのだ。そして、天候や
海潮は、よい意志なれば必ずそれに従う。そう思いたかった。
艀《はしけ》に乗り移....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
《おうむ》のごとく八足あり〉、また『類函』四四九に『紀聞集』を引いて天宝四載広州
海潮に因って一蜈蚣を淹《ひた》し殺す、その爪を割《さ》きて肉百二十斤を得とあるも....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
くことも出来ず、人の心は、まして燃え抜かせるだけの力を持たない正隆は、胸に満ちる
海潮のような感情を、湧くにつれて、後から後からと澱ませて行ったのである。 澱ま....
「悟浄出世」より 著者:中島敦
耳に、美しい女性的な声――妙音《みょうおん》というか、梵音《ぼんおん》というか、
海潮音《かいちょうおん》というか、――が響いてきた。 「悟浄《ごじょう》よ、諦《....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
第に子産石の浜に消えて、どこへ灌ぐということもない。口につけると塩気があるから、
海潮がさすのであろう。その川裾のたよりなく草に隠れるにつけて、明神の手水洗にかけ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
そこまで至っていないと見た方がよろしい。小湊《こみなと》の浜で、梵音《ぼんおん》
海潮音《かいちょうおん》を聞かせられたことはあるけれども、彼にはその感激はあるけ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
立てた 八万長者のチョビ助が! けれども、下にいた弁信法師の耳には、この時|
海潮音《かいちょうおん》の響がいっぱいで、茂太郎のけたたましい声が入りませんでし....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
多くの若い女官たちが、阿虞の浦で船に乗って遊楽する、その時にあの女官等の裳の裾が
海潮に濡れるであろう、というのである。 行幸は、三月六日(陽暦三月三十一日)か....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
むしろ愉快に見えているのである。われわれの南方に出来ていた浮氷は一部溶け去って、
海潮はグリーンランドとスピッツバーゲンの間を走る湾流の一支流にわれらの船は在るの....
「詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
会が完全に日本語にうつして表現せられた場合は、そこに日本の詩が生れる訣である。「
海潮音」に示された上田敏さんの外国詩に対する理会と、日本的な表現力は、多くの象徴....
「巷の声」より 著者:永井荷風
たものになっていたかも図られない。 凡門巷を過行く行賈の声の定めがたきは、旦暮
海潮の去来するにもたとえようか。その興るに当っては人の之に意を注ぐものなく、その....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
二十五日、風雨、怒濤ますますはなはだし。午後雨やみたるも、風力さらに加わり、
海潮を甲板上に打ち込むこと幾回なるを知らず。船病者多し。ただし風位一変、西南より....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
気の毒な方へ。ただそれだけです。 私は合掌して口誦みます。 妙音観世音 梵音
海潮音 観音の有難さ、それは潮の音のごとく大きくひたひたと押し寄せる。 勝被世間....