海獣[語句情報] » 海獣

「海獣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

海獣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
そこを出てから、お島は野広い境内を、其方《そっち》こっち歩いてみたが、所々に海獣の見せものや、田舎《いなか》廻りの手品師などがいるばかりで、一緒に来た美しい....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
け、足を離しながら、首を紐の上に落したことは疑うべくもなかった。その――てっきり海獣を思わせるような屍体は、同じく宮廷楽師の衣裳を附けていて、胸のあたりがわずか....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ず野獣の声もない、ひっそり閑とした朝まだきの一刻がある。そのころ、水槽をそなえた海獣の檻のまえで、なにやら馴育師から説明を聴いているのが……、というよりも甚だし....
「死体蝋燭」より 著者:小酒井不木
宵から勢いを増した風は、海獣の飢えに吠ゆるような音をたてて、庫裡、本堂の棟をかすめ、大地を崩さんばかりの....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
人から妻から娘から老母から！ 眼白押しに立って、一枚々々熱心に自分への宛名を探す海獣たち――僕もこうしていまその一人を装ってるんだが――この時は、彼らも完全に良....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
っしぐらに逃げ出したのも道理。 海女が立っていた近くの海上には、世にも怖るべき海獣が一つ、漂うている。頭上に二つの角を持って、さながら鬼竜のようなのが、波にわ....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
のときかれらは、自然の大食堂、海へ、魚をたべに行っているのだ。およぎの達者なこの海獣は、五、六頭ずついっしょに、島近くの海をおよいだり、もぐったりして、魚をたく....
「映画雑感（Ⅵ）」より 著者:寺田寅彦
ところがありはしないかという気がするのである。 ナヴァラナが磯辺で甲斐甲斐しく海獣の料理をする場面も興味の深いものである。そこいらの漁師の神さんが鮪を料理する....
「金の十字架の呪い」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
すかに残っていた。そして石の蓋が明いていて、墳墓それ自身の暗い巨体の中にかかる大海獣のあごがあるかもしれなかった。 ふさわしいという考えからかあるいはもっと近....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
大波を立て、渦の内輪は独楽のように澄み切った速さで廻っている……名も知らぬ畸形の海獣や巨大な水牛やトラコドンは、その渦巻に巻かれまいと水沫を立てて狂い廻りながら....
「馬妖記」より 著者:岡本綺堂
怪しい馬はやはり海から上って来ることに決められてしまった。 「海馬か、トドだ。」海獣が四本の足を持っているかどうかということを、その時代の人たちは考えなかったら....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
欲の寝床となる。匍匐し、挑み、相撃ち、逃惑い、追跡する暗褐色の数万のグロテスクな海獣どもの咆哮と叫喚は、劈《つんざ》くような無数の海鴉《ロッペン》の鳴声と交錯し....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
のであると考える。ただその山田寺の場合と異なる著しき点は、法隆寺塔礎中には一面の海獣葡萄鏡が収蔵せられてあった事である。海獣葡萄鏡は古く宋代の博古図に、これを漢....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
覗いた――この驚駭、この動顛、この大畏怖、この寂光。 何とこの無人の、原始の、海獣の渾沌世界の、狂歓の、争闘の、蕃殖の、赤裸々の、瞬間の、また永遠の真実相であ....
「アイヌ宗教成立の史的背景」より 著者:知里真志保
あって、浦河アイヌの伝えるところによれば、この山の頂には石の殿堂があり、その後に海獣や海草の沼があって、その沼のみえる谷一つ手前までは誰でも登れるけれども、それ....