海老茶[語句情報] » 海老茶

「海老茶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

海老茶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
あるビヤホオルの看板を見つけて、 「おい、君、もう一杯ここでやって行こう。」と、海老茶《えびちゃ》色をした入口の垂幕《たれまく》を、無造作《むぞうさ》に開いては....
並木」より 著者:島崎藤村
通は激しくなる――市区改正の為にどしどし町は変る――東京は今、革命の最中だ」 「海老茶《えびちゃ》も勢力に成ったね」と原は思出したように。 「うん海老茶か」と相....
婦系図」より 著者:泉鏡花
かわり待合や、何かじゃ、僕の方が媒酌人だよ。」 「怪しからん。黒と白との、待て?海老茶と緋縮緬の交換だな。いや、可い面の皮だ。ずらりと並べて選取りにお目に掛けま....
少女病」より 著者:田山花袋
バネスも羊羹色に黄ばんで、右の手には犬の頭のすぐ取れる安ステッキをつき、柄にない海老茶色の風呂敷包みをかかえながら、左の手はポッケットに入れている。 四ツ目垣....
」より 著者:島崎藤村
形につなぐことなぞは、ことにその幼い心を楽しませた。兄たちの学校も近かったから、海老茶色の小娘らしい袴に学校用の鞄で、末子をもその宿屋から通わせた。にわかに夕立....
田舎教師」より 著者:田山花袋
着飾ってくる女生徒の群れの中にもかれの好きな少女が三四人あった。紫の矢絣の衣服に海老茶の袴をはいてくる子が中でも一番眼に残っている。その子は町はずれの町から来た....
蒲団」より 著者:田山花袋
かったが、今は時勢が移り変った。四五年来の女子教育の勃興、女子大学の設立、庇髪、海老茶袴、男と並んで歩くのをはにかむようなものは一人も無くなった。この世の中に、....
」より 著者:金子ふみ子
の遊び友だちが二人いた。二人とも私とおないどしの女の子で、二人は学校へあがった。海老茶の袴をはいて、大きな赤いリボンを頭の横っちょに結びつけて、そうして小さい手....
連環記」より 著者:幸田露伴
て恐入り奉る。平安朝は丁度太平の満潮、まして此頃は賢女才媛輩出時代で、紫式部やら海老茶式部、清少納言やら金時大納言など、すばらしい女が赫奕として、やらん、からん....
白い下地」より 著者:泉鏡花
むることは困難といい得る。さればこそ混濁された色が流行するようになって来た。かの海老茶袴は、最もよくこれ等の弱点を曝露して居るものといわねばならぬ。 また同じ....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
ぱっちりとして髪を二つに割って両耳のところで結び玉をこさえている。元禄袖のセルに海老茶のはかまをはき、一生懸命にゴムほおずきを口で鳴らしていた。 「今晩は」とチ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ダ黄蘭のように宙乗りをして、そこから静かに得意の夢を謳いつづけていた。休憩椅子は海老茶の天鵞絨の肌をひろげて、傍へ来る女の腰をしっかり受取ろうと用意していた。ケ....
高知がえり」より 著者:寺田寅彦
りは西へついている。何処の学校だか行軍に来たらしい。生徒が浜辺に大勢居る。女生の海老茶袴が目立って見える。船にのるのだか見送りだか二十前後の蝶々髷が大勢居る。端....
若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
ロウドの、リボンに、レースのふち飾り、そして、真珠のピンをさしました。ジョウは、海老茶色の服に、かたい、男のするようなカラア、それに白菊を飾りにしただけでしたが....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
幕の向うでは運動会のおしまい頃で何か騒いでいたがそれも聴き棄てにした。ただ出口で海老茶袴の二、三と逢ったが、着こなしがいかにも野暮くさく、面相がいくらか内地とは....