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「海霧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

海霧の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海底大陸」より 著者:海野十三
へいこうしているのだ。機関部がくさくないとは全くふしぎだ。するとこれは、やっぱり海霧につつまれているとしか思えない。だが、そのガスも尋常いちようのガスではない―....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
顔に駈け廻ると云う程度のものではなく、夜になって辺りが闇にとざされる頃から青白い海霧が寒む寒むと立てこむ夜中にかけて墨のような闇の海を何処をなにしにほっつき廻る....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
附近を航行していた汽船の中には、その信号を聞きつけた貨物船が二艘あった。しかし、海霧に包まれた遭難箇所は、水深も大きく、潮流も激しく、荒れ果てていて到底近寄るこ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
れ、船脚が加わった。全帆、はり裂けんばかりに帆桁を鳴らし、躍りあがる潮煙は迷濛な海霧ばかり。そうして、二、三海里近付いたとき双眼鏡をはずした水夫長が、 「やっぱ....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
台が、廻転する度にキラッキラッと光るのが、ずウと遠い右手に、一面灰色の海のような海霧の中から見えた。それが他方へ廻転してゆくとき、何か神秘的に、長く、遠く白銀色....
光と風と夢」より 著者:中島敦
気がして来る。自分は自分が思っている程自分ではなく、今から八十五年前北海の風波や海霧《ガス》に苦しみながら、干潮の時だけ姿を見せる・此の魔の岬と、実際に戦ったこ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
去つて尽きんと欲す 江潭落月《かうたんらくげつ》また西に斜めなり 斜月沈々として海霧《かいむ》に蔵《かく》る 碣石瀟湘《けつせきせうしやう》限り無きの路 知らず....
怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
ブオス島沖に仮泊すると、いよいよ最後の密猟を開始した。五|艘の端艇は、早朝から、海霧を破って猟に出かけるが、夜半には、いずれも満船して戻ってくる。船長はじめ、乗....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
人魚 つい一刻ほど前には、渚の岩の、どの谷どの峰にも、じめじめした、乳のような海霧が立ちこめていて、その漂いが、眠りを求め得ない悪霊のように思われた。 すで....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
れ去ってしまった。 そのおり、黄昏の薄映えは、いぜん波頭を彩っていたけれども、海霧は暗さを増す一刻ごとに濃く、またその揺動が、暗礁を黒鍵のように弄んで、それが....
海豹島」より 著者:久生十蘭
験するのははじめてである。北風独特の軋るような呻き声は、いまから二十数年前、氷と海霧にとざされた海豹島で遭遇したある出来事を思い出させる。子供たちはとっくに寝床....
西航日録」より 著者:井上円了
す。この航海中は格別記すべきほどの珍事なし。ただ海上は気候意外に寒冷にして、往々海霧中にとざされたるも、風波いたって平穏にして、さらに大西洋の航海らしき感を有せ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
を帯び、南風冷を送る。終日小嶼に接見す。波平らかに船静かなり。 十八日、曇り。海霧あり、船徐行す。午後一時に至り、ますます濃厚を加えたるために船をとめ、五分ご....
硝子を破る者」より 著者:中谷宇吉郎
も、悲しむべき事件が起っていた。戦争中私たちは冬のニセコ山頂の研究と並行に、夏は海霧の研究に没頭していたのである。夏の数カ月毎日のように、千島《ちしま》及び東部....