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海鳴
「海鳴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
海鳴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鰊漁場」より 著者:島木健作
て来た。天も海も真黒に塗りつぶされた闇のなかに、カンテラの光りがかすかに明滅し、
海鳴りと風の咆哮とが、その音を競い合った。 瞬間、ふたたび小山のような大波が来....
「怪塔王」より 著者:海野十三
足元には、白い泡をうかべた荒潮が、或は高く、或は低く満ち引きしています。そして
海鳴のような音さえ聞えるのです。 3 帆村探偵は、奇蹟的に一まず危難....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
。 何事かと窓によってみると、海上に大海魔の姿はなく、ごーっという、すさまじい
海鳴とともに、今まで大海魔ののぞいていた海面は、ごぼんごぼんと大きな泡をたて、渦....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
する。……風は死んだのに、遠くなり、近くなり、汽車が谺するように、ゴーと響くのは
海鳴である。 更に遠く来た旅を知りつつ、沈むばかりに階段を下切った。 どこに....
「不動像の行方」より 著者:田中貢太郎
の間でもない。またそれかと云って空中でもないが、不思議などうどうと云う譬えば遠い
海鳴か、山のむこうの風の音とでも云いそうな音が、その日の朝明け比から始まってその....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
いました。なんだかそこからオルガンがひびいてくるような気がしましたが、でもそれは
海鳴りの音をききちがえたものでした。やがてお寺のすぐそばまでいきますと、みるみる....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
ひびき、まるで水雷の爆発だ。それも、三つ四ついっしょにね。ぶああんと、遠くまで、
海鳴りがして、ひびき渡っていく。こんなことは、まあ、陸では見られない。海は大きい....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
てからですね」 土地の人々がこう教えてくれた。私がこの土地で育ったころは一冬中
海鳴りが町まできこえていたものだ。その海も波一つない湖水のようで一冬吹きつける北....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
荒ぶ風は、松飾りに浪のような音を立てさせている。ふと、その響きに、彼は夷岐戸島の
海鳴りを聯想したのである。 ――はじめ想い泛べたのは、数字の符合だった。それは....
「おみな」より 著者:坂口安吾
浅蜊を拾う名手であった。十二、三の頃の話だ。夏も終りに近い荒天の日で、町にいても
海鳴りのなり続く暗澹たる黄昏時のことであったが、突然母が私を呼んで、貝が食べたい....
「地上」より 著者:島田清次郎
の音調は急流のように争いつつ、いつしか渾一に融合するうちに、いつともしれず大鼓の
海鳴りの音が新しい根拠をもって轟いて来た。三味の音は次第に弱められてしまった。 ....
「黒い旗物語」より 著者:小川未明
黒い旗がひらひらと二|本のほばしらの上にひるがえっていました。 「昨夜は怖ろしい
海鳴りがしたから、なにか変わったことがなければいいと思った。」 と、老人がいって....
「女の魚売り」より 著者:小川未明
た。そして、松の木が、風に吹かれて鳴っている。そのあいまに、ド、ド、ド――という
海鳴りの音がしていたのでした。 二人は、一つの砂山を上がりますと、もう、目の前....
「黒い人と赤いそり」より 著者:小川未明
じょうな吹雪になりました。夜になると、ますます風が募って、沖の方にあたって怪しい
海鳴りの音などが聞こえたのであります。 その明くる日も、また、ひどい吹雪であり....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
きであった。 私は脚柱の一つに耳を当てる。 韃靼海の深い、遠い、冥い響きが、
海鳴りが、波の音が、潮騒が、 あ、きこえる、きこえる。 「や、君は此処に何をし....