浸蝕[語句情報] » 浸蝕

「浸蝕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浸蝕の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高山の雪」より 著者:小島烏水
残して一方を欠いた噴火孔のようになる。しかしその岸側でなく、平坦地にあるものは、浸蝕力を逞しゅうすることが出来ないで、雪堤となって、一定の高さに達すると風に吹き....
日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
八百九沢に見らるる大日沢であるとか、桜沢であるとかいうのは、みんな流水や、墜雪の浸蝕した痕跡であるが、あの御殿場口から登り初めると、宝永山の火山礫を冠った二箇の....
夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
しにしましょうぜ、組長さん。そんなら云うが、この薬の働きはねえ、人間の柔い皮膚を浸蝕する力がある」 「そうか、柔い皮膚を、抉りとるのだな」 「それ以上は、言えね....
雛妓」より 著者:岡本かの子
カスされて窓より入り、微妙な明るさに部屋中を充たした頃から、雛妓は何となく夢幻の浸蝕を感じたらしく、態度にもだんだん鯱張った意識を抜いて来て、持って生れた女の便....
石狩川」より 著者:本庄陸男
《すそ》を西に折れ、山峡の低みをかけおりた水は、急湍《きゅうたん》となって川上の浸蝕谷《しんしょくこく》をよぎる。やがて盆地の水々を集めて西の壁である中央山脈に....
今朝の雪」より 著者:宮本百合子
紀子も根深いものをもっているのでもない様子である。 日夜流れる水に漬っていつか浸蝕されてゆく河岸の土のように、紀子たちの結婚生活が目にも見えず崩れてゆく不安を....
自然界の縞模様」より 著者:寺田寅彦
ュタインまでが一説を出していたようである。しかし場合によっては、これが単に河水の浸蝕作用だけではなくて、もっと第一次的な地殻変形の週期性によって、たとえ全部決定....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
様性も日本の土地の相貌を複雑にするのである。たとえば風化せる花崗岩ばかりの山と、浸蝕のまだ若い古生層の山とでは山の形態のちがう上にそれを飾る植物社会に著しい相違....
夜の靴」より 著者:横光利一
縛りつづいて来ているように見える、ある何かの紐帯を感じる刻刻の呼吸で、山波の襞も浸蝕されつつあるように痛んで来る。切断されようとしている神――木の雫に濡れた落葉....
自力更生より自然力更生へ」より 著者:三沢勝衛
立場から申しますと、その山崩れとか地辷りとかいうのは、いずれもそれは地盤の一種の浸蝕現象でございまして、すなわち一種の水の営力としての現れでございます。元来、こ....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
こういう決意に私はあまり興味がない。誰だって、生物の肉体に対する自然の気まぐれな浸蝕作用に対し、不損不滅の肉体を持ち度いと希う本能は持って居る筈だけれど、よほど....
台川」より 著者:宮沢賢治
。実《じつ》に円く柔《やわ》らかに水がこの瀑のところを削《けず》ったもんだ。この浸蝕《しんしょく》の柔らかさ。 もう平らだ。そうだ。いつかもここを溯《のぼ》って....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
。そうしてさらに『およそ斯くの如きは、山の手に至りて特に甚だしく、下町もまた漸く浸蝕せられ、たゞ浅草区のみは、比較的にかゝる田舎漢に征服せらるゝことの少きをみる....