消え残る[語句情報] »
消え残る
「消え残る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
消え残るの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
ヶ岳で、三、四月のころ雪が山の峡《はざま》に、白蝶の翅《はね》を延しているように
消え残るので、そう言いますという。遥に北へ行くと、白馬岳が聳《そび》えている、雪....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
おのず》から尽きず、しだいに天に逼《せま》って上へ上へと限りなきを怪しみながら、
消え残る夢を排して、眼《まなこ》を半天に走らす時、日輪の世は明けた。 神の代《....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
も持って、現われるという、言い伝えもあるそうだ。) 山の雪が動物の形態となって
消え残ることは、何か因縁話があるのかは知らぬが、殊に中央日本の山に多いようである....
「春昼」より 著者:泉鏡花
紅に、黄昏過ぎの渾沌とした、水も山も唯一面の大池の中に、その軒端洩る夕日の影と、
消え残る夕焼の雲の片と、紅蓮白蓮の咲乱れたような眺望をなさったそうな。これで御法....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
心着くほど、まだ一声も人を呼んでは見ないのであった。 「松か、」 夫人は残燈に
消え残る、幻のような姿で、蚊帳の中から女中を呼んだ。 けれども、直ぐに寐入った....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
とくにつづけるのだった。
あかるい光が小ぢんまりした茶室いっぱいにみなぎって、
消え残る香のけむりが床柱にからんでいる。
この二、三日急に春めいて来たきちがい....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
わせしが、フト一策の胸に浮ぶやいなや、狂獣のごとく走って船底に飛び降り、いまなお
消え残る一個の船燈を取るより早く、燈を砕き油を船中に振撒いて火を放てり、● 悪....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
れに乗って直芳が下を見た時に、思わず知らず口走ったのであった。それは緑の水中に、
消え残る雪の塊とも擬うべき浴泉の婦人を見出したからであった。丈にも余る黒髪を、今....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
の空に高い鳥海山が長い裾を東西に伸ばしていた。山の肌はまだ蒼い。腰の辺りに幾とせ
消え残る万年雪が、まだらに白く秋陽に輝いていた。河口には、左にも右にも遠く白砂が....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
土や小石の混った幅二、三寸の汚れた雪の縞が織り込まれている。此一つ一つの層が年々
消え残る雪の量であることは慥だ、恐らく下の部分或は寧ろ岩壁に接した横の部分が溶け....