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「消磨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

消磨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
迎え、二十七の年まで空虚な遍歴の旅を続けた。敵に対する怨みも憤りも、旅路の艱難に消磨せんとすることたびたびであった。が、非業に殪《たお》れた父の無念を思い、中川....
善の研究」より 著者:西田幾多郎
客観に対して主観を立し、外物を自己に従えるという意味ではない。自己の主観的空想を消磨し尽して全然物と一致したる処に、かえって自己の真要求を満足し真の自己を見る事....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
だけ多く搾取しようとした官僚政治により、遂に国民の生産的、建設的企図心を根底的に消磨し、生活し得る最小限度の生産が、人民の経済活動の目標となった結果であった。封....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
を見ると和んで来た。親しみをさえ感じて来た。「悪人と云っても鬼畜ではない。良心を消磨し尽くすことは容易のことでは出来ないと見える。……それに善と云い悪と云っても....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
家の諍は、北海道中の評判となり、色々の風説をすら惹起した。翁は其為に心身の精力を消磨した。然し翁は自ら信ずること篤く、子を愛すること深く、神明に祈り、死を決して....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
ゃく》せず、独りネビッチョ除《の》け物と成ッて朝夕勉強|三昧《ざんまい》に歳月を消磨する内、遂に多年|蛍雪《けいせつ》の功が現われて一片の卒業証書を懐《いだ》き....
一つの思考実験」より 著者:寺田寅彦
。 こういう習慣は物事に執着して徹底的にそれを追究するという能力をなしくずしに消磨させる。たとえばほんとうに有益なまとまった書物でも熟読しようというような熱心....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ある。 我々が物の真相を知るといふのは自己の妄想臆断即ちいはゆる主観的のものを消磨し尽し物の真相に一致した時始めて之を能くするのである。我々は客観的になればな....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
たことは自認するけれども、この腕前を見せてやろうというような野心が、もうすっかり消磨しているのですから、そこで主膳の書道に於ては、衒気《げんき》、匠気というもの....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
る、幸に新政府が成立したからと云って、その政治の奔命に疲らされて革新の精力などは消磨されてしまう、そこへ外国の勢力が割込むと云う様な事になった日には維新の事業ど....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
陥った泥。弱少なる其々が、積極を求めて消耗的恋愛に入ったり、所謂経験渉りに焦って消磨したり。 わたしに、そのどれもが入用でないことはよくわかっていても、さて、....
雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
も世間の要求に応じるために忙しい想いをし、従ってそれだけの心のエネルギーを余計に消磨させなければならない。 これは止むを得ない事かもしれない。そして私はそうい....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の収入以上を費やしてる人々、彼はその一人であった。幼年時代から彼は労働と貧困とに消磨《しょうま》されてきた。彼はあらゆる職業をやった、ガラス職人、鉛職人、印刷職....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
のごとく流れ去る。年月は老いたる樹木の胴体に刻み込まれる。形体の世界はことごとく消磨《しょうま》しまた更新する。そして不滅なる音楽よ、ただ汝のみは過ぎ去らない。....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
また蹉躓し、拠ろなしに一時横道に外れて文学三昧に遊んでいたが、夙昔の志望は決して消磨したのではなかった。官報局に在職中、哲学や精神生理に頻りに興味を持って研究し....