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涌
「涌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
。けれども目的地に着いて、この地方の美しい夕方の風光に接すると、画家らしい情熱が
涌き上って来て、心中の疑問も暫く忘れることが出来、早速|東室へやって来ると、この....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
。煮沸に三段ある。その沸、魚目(一一)のごとく、すこし声あるを一沸となし、縁辺の
涌泉蓮珠(一二)のごとくなるを二沸となし、騰波鼓浪(一三)を三沸となしている。団....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、六寸ばかりあらわれていたので、追っ手は剣をぬいて尾を斬ると、そこから忽ちに泉が
涌き出して池となった。金龍池の名はこれから起ったのである。 発塚異事 三....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
た。わけても顔は躰中での一番大切な場所であるが、大雷はその死に顔を――肉|爛れ蛆
涌き血涸れた顔を見事な活顔に返したのであった。すなわち造顔術元祖と云えよう。 ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
過ぎなかった。併し、残された刀自・若人たちの、うち瞻る画面には、見る見る、数千地
涌の菩薩の姿が、浮き出て来た。其は、幾人の人々が、同時に見た、白日夢のたぐいかも知れぬ。....
「糸くず」より 著者:国木田独歩
そうな香り、攣れた褐色の皮の上にほとばしる肉汁の香りが室内に漂うて人々の口に水を
涌かしている。 そこで百姓のぜいたくのありたけがシュールダンというは機敏な奴で....
「氷河」より 著者:黒島伝治
で懐手をしている資本家や地元の手先として使われているのだ。――と、反抗的な熱情が
涌き上って来るのを止めることが出来なかった。それは彼ばかりではなかった、彼と同じ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
木にも咲くのである。藤原南家の郎女が藕糸を績いで織った曼陀羅から光明が泉のように
涌きあがると見られる暁が来る。 釈迢空さんは『死者の書』の結尾にこういっている....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
れて、萩野の姿の見えなくなると一緒に、その歩き方は力なげになった。 絶望が心に
涌いたからである。 ここは京都の郊外の、上嵯峨へ通う野路である。御室の仁和寺は....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
には大きな文字で太く私の名が書かれてある。それを見ていると私の双の眼に泪が一ぱい
涌いて来た。その手紙は私のいちばん親しかった青年時代の友から来たものだった。彼は....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
せる不思議の業、この世には数々ある、何となく弁三爺の心に、俺を憎しむ心持が、深く
涌いていないものでもない。もしそうなら撃つぞ本当に!) ゾッと感ずるものがあっ....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
生のいる場所からなるたけ遠く逃げようとしているのである。跡には草原の中に赤い泉が
涌き出したように、血を流して、女学生の体が横わっている。 女房は走れるだけ走っ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
宝塔品という経文の中に、多宝塔(この宝塔の中には如来全身有す)という塔が地中より
涌き上って空中に止まり、その中に多宝如来と釈迦仏とが並んで座せられる場面が書いて....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
た。耿として羽裏を光らせて行くその無数の点々。 煙だ。白い湯気だ。その無尽蔵に
涌出するむくりむくりの塊り。 しかも、見るものは空と海との大円盤である。近くは....
「自来也の話」より 著者:岡本綺堂
であるが、それがまた児雷也と変ったのは美図垣笑顔から始まったのである。笑顔は芝の
涌泉堂という本屋の主人で、傍らに著作の筆を執っていたが、何か一つ当り物をこしらえ....