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涕涙
「涕涙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涕涙の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「倫敦塔」より 著者:夏目漱石
平地の上に波瀾を画いたものであろう。彼らが題せる一字一画は、号泣《ごうきゅう》、
涕涙《ているい》、その他すべて自然の許す限りの排悶的《はいもんてき》手段を尽した....
「黙示のページ」より 著者:横光利一
じき理想の旗のもとに、最早や現実の実相を突破し蹂躙するであろう。最早懐疑と凝視と
涕涙と懐古とは赦されぬであろう。その各自の熱情に従って、その美しき叡智と純情とに....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
なかった。これはじつに私には痛刻きわまりなき悲哀であり、苦痛であり、寂寞であり、
涕涙であった。私は苦しみ悶えた。私はその友に与えた手紙の一節を記憶している。 ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
てから、五兵衛は目に見えて焦っていた。毎晩、娘の部屋をひそかに訪問して、跪ずき、
涕涙し、合掌して懇願していると消息通の噂になっていたほどだ。 「だから、オレは、....
「曙覧の歌」より 著者:正岡子規
なお強いて「戯れに」と題せざるべからざるもの、その裏面には実に万斛《ばんこく》の
涕涙《ているい》を湛《たた》うるを見るなり。吁《ああ》この不遇の人、不遇の歌。 ....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
真ニ美人ノ粧ニ倦ムニ同ジ」と賞讃して書き「又俗ニ伝フ、昔女子アリ人ヲ懐テ至ラズ、
涕涙《ているい》地ニ洒ギ遂ニ此花ヲ生ズ、故ニ色嬌トシテ女ノ面ノ如シ、名ヅケテ断腸....
「植物知識」より 著者:牧野富太郎
。また俗間《ぞくかん》の伝説では、昔一女子があって人を懐《おも》うてその人至らず
涕涙《ているい》下って地に洒《そそ》ぎ、ついにこの花を生じた。それゆえ、この花は....
「瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
れば大に裨益あればとて、即時、价を馳せて贈られたるなど、余は感泣措くこと能わず、
涕涙しばしば被を沾したり。また先生の教に従いて赤十字社病院に入たる後も、先生|来....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
いわく 老い耄れて世に残るよりは 早く死なんに如かずと 父母聞きて怨念胸に塞がり
涕涙、瞼を衝き目くらみ 噫、汝幼少の時 吾れにあらざれば養われざりき 吾れに非ざ....
「三国志」より 著者:吉川英治
まったであろう――と。 即ち、彼は卒然と、自分の小心を恥じて、その印綬をうけ、
涕涙再拝して、 「小弟の愚かな放言をおゆるしください」と、はるか成都のほうへ向っ....