涙ぐましい[語句情報] » 涙ぐましい

「涙ぐましい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

涙ぐましいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
子は倉地のためになんでもして見せてやりたかった。時によるとわれにもなく侵して来る涙ぐましい感じをじっとこらえて、定子に会いに行かずにいるのも、そうする事が何か宗....
星座」より 著者:有島武郎
って読もうと勉めながら、おぬいは始めの方から意訳していった。けれども冒頭からもう涙ぐましい気持にされていた。おぬいはかねてから、自分の身の上にも、いつかは恋愛が....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
頭脳の火花が散るように思われたが、そこに達するまでの艱苦《かんく》には、さぞかし涙ぐましいものがあったであろう。滝人も、追想やら勝ち誇った気持やら苦悩の想い出な....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
っかり狼狽してしまった。 実は佐古が村口多鶴子を「オリンピア」に招聘するために涙ぐましいほどの努力をはらったのは、慾得をはなれた考えからであった。電機工をして....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
温みで暖まるまで、まじまじと目を見開いて、君の妹の寝顔を、憐れみとも愛ともつかぬ涙ぐましい心持ちでながめつづける。それは君が妹に対して幼少の時から何かのおりに必....
クララの出家」より 著者:有島武郎
い眠りを覚ました不思議な夢も、思い入った心には神の御告げに違いなかった。クララは涙ぐましい、しめやかな心になってアグネスを見た。十四の少女は神のように眠りつづけ....
自叙伝」より 著者:大杉栄
た。 僕は父が馬上でその一軍を指揮する、こんなに壮烈な姿は初めて見た。ちょっと涙ぐましいような気持にもなった。しかし何だか僕には、父のその姿が馬鹿らしくもあっ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、さながら影の形に伴う如く、ただの一|日として脊の君のお側を離れなかった弟橘姫の涙ぐましい犠牲の生活は、実にその時を境界として始められたのでした。或る年の冬は雪....
「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能」より 著者:癋見鈍太郎
のの千変万化でなければならぬ。勇ましいとも、美しいとも、尊いとも、勿体ないとも、涙ぐましいとも、何ともかんともたとえようのない人間美の現われでなければならぬ。更....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
じめた。こんな思い出がそれからそれへと湧き出して、これを書きながらも私はなんだか涙ぐましいような心持になるのである。 このときに、団十郎の弟新之助が大阪から戻....
我楽多玩具」より 著者:岡本綺堂
ンテラの灯の前に立って、その縁日玩具をうろうろと猟っていた少年時代を思い出すと、涙ぐましいほどに懐しく思われます。 私の玩具道楽、しかも我楽多玩具に趣味を有っ....
公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
、さびしくはありませんか。」 かく、小鳥は語りました。とこなつの花は、いつしか涙ぐましいまでに哀しさを自らの心にそそられました。そして、頭をもたげて身のまわり....
民衆芸術の精神」より 著者:小川未明
こうした、つゝましやかな生活には、愛と平和とやさしみとがあふれている。それは真に涙ぐましい程貴く、また真実なものであります。言を換えれば、これが民衆の生活であり....
人間性の深奥に立って」より 著者:小川未明
今は割愛したい。 露西亜の現状に於て、外の事はともかく子供の教育上に於ては私は涙ぐましい気がする。大人はどんな苦しみをしても、その子供には不足を感ぜしめないよ....
情鬼」より 著者:大倉燁子
を切望するらしい文字もあった。私は小田切さんを知っているだけに、彼の心中を思って涙ぐましい気持になった。過去の古疵から何を探り出そうとするのだろうか、夫人の冷め....