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涙金
「涙金〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涙金の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坑夫」より 著者:夏目漱石
ばならないと、冥々《めいめい》のうちに自覚したからである。自分は屑《いさぎ》よく
涙金《なみだきん》を断った。断った表向は律義《りちぎ》にも見える。自分もそう考え....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
のは、大抵お察しでもありましょうが、お半との関係を云い立てて、駿河屋から幾らかの
涙金を取ろうとする。番頭の吉兵衛も世間体をかんがえて、結局幾らかやろうと云い出し....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
うも口となるとあっしゃ不得手でしてね、とう/\支倉にやり込められて、僅かばかりの
涙金で、スゴ/\と引下って来たんです」 「ふむ」 石子刑事は腕を組んだ。 「じ....
「組合旗を折る」より 著者:永崎貢
れたのが俺でなくてまあよかったわい。」 と、その度に安堵の胸を無下した。僅かな
涙金でおっぱらわれ、散々になって去って行く仲間を見て見ぬ振りをしている有様だった....
「浚渫船」より 著者:葉山嘉樹
食ってかかったって、仕方がないじゃないか、な、ちゃんと嘆願さえすれば、船長だって
涙金位寄越さないものでもないんだ。それを、お前が無茶云うから、船長だって憤るんだ....
「「我らの誌上相談」」より 著者:宮本百合子
お父さんが十五年も働きつづけ、機械にはさまれ死んだとしても、会社は半年ももたない
涙金をくれるぎり。あとは母親と娘、息子でやっとこ生きて行かねばならぬ。だから、ど....
「遺言状・遺族善後策」より 著者:二葉亭四迷
遺言状 一 余死せば朝日新聞社より多少の
涙金渡るべし 一 此金を受取りたる時は年齢に拘らず平均に六人の家族に頭割りにすべ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
途は廊下の往復に限られていた。私の人生はまた雨模様となってしまった。 寺からの
涙金やBやMの世話であるY山中の貧乏寺の老舗を安く買い取った私は、やっと私自身を....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
は何よりも率直で実際的だ。百の委員会よりも、千の座談会よりも、或いは何十万円の「
涙金」よりも価値があるだろう。処が貧農の娘達を職業紹介すると云えば、今日は何と云....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
そのまま言出して、合長屋が協議の上、欠けた火鉢の灰までをお銭にして、それで出合の
涙金を添えて持たせ、道で鳶にでも攫われたら、世の中が無事で好い位な考えで、俵町か....
「黒点」より 著者:豊島与志雄
た。 「ええ、どうせそうだろうよ。わたしはこれでもね、自分の息子を殺されて、その
涙金の二百円ぽっちりの金を、お辞儀をして貰ってきやしないよ。」 「何だと、誰がお....
「我が円朝研究」より 著者:正岡容
けてくるが、あべこべに飯島殺しの一件を伴蔵に暴かれ、お見それ申しましたとすごすご
涙金で引き下がっていく。いよいよおもしろい。ただこのときの伴蔵が傍らの志丈もあと....
「反キリスト教運動」より 著者:小川未明
情は地上に花を開くのだ。 然し現在のキリスト教なるものは、多くは世界の資本家の
涙金から同盟を作り、大会を催す――換言すれば、経済的に資本主義者に寄食しているも....
「脚」より 著者:吉川英治
かに、慥に、もっとしていい事があった。――七十両は、どうせ今に、路頭に迷う父娘へ
涙金をくれたと思え」 入家の日が来た。 彦太は、聟殿だった。 派手ッぱりな....