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涙雨
「涙雨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涙雨の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
気を取られてしまった。 ジャズで踊って、リキュルでふけて、 明けりゃダンサーの
涙雨 北山はしわがれた声で歌い出した。踊子たちはくすくす笑い出した。しかし、....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
俄《にわか》に死んだという。南唐の李後主青竜山に猟せし時、一牝猴網に触れ主を見て
涙雨下し稽※《けいそう》してその腹を指ざし示す。後主人をして守らしむるにその夕二....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
坂の下へ着いた時分には、坂も曇れば鈴鹿《すずか》も曇る、はたしてポツリポツリと
涙雨です。 この雨が峠へかかれば雪になる。雨になり雪にならずとも夜になるにはき....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
若塚《うめわかづか》の大念仏は十五日で、この日はきまって雨が降る。いわゆる梅若の
涙雨だが、それが三日も続いた末、忘れたようにからりとあがった今日の十八日は、浅草....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
に水が出たものであるからみな不思議がっている。しかし誰一人上を見て、それが超人の
涙雨であることに気をつけるものもなかったので彼も安心をした。 そのうちに、水は....
「三国志」より 著者:吉川英治
がふるえてきます。……ああいつまでも、こうしていたい」 なお、寄りすがって、紅
涙雨の如き姿態であった。――ところへ、董卓は朝から帰って来るなり、ただならぬ血相....
「三国志」より 著者:吉川英治
よう、許都の空より祷っておりますぞ」と、いった。 玄徳はついに嗚咽し、しばしは
涙雨の如くだった。そしてなお、ここでも別れるに忍びないで、 「……もう四、五里ほ....
「三国志」より 著者:吉川英治
ごそかに、こういうと、曹操はその瞬間に六十六年の生涯を一望に回顧したのであろう、
涙雨のごとく頬をぬらし、一族群臣の嗚咽する眸の中に、忽然と最期の息を終った。――....