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涛
「涛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涛の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「船医の立場」より 著者:菊池寛
て、夜行って見ると、舟は何人《なんびと》かが乗り去ったとみえて影もなく、激しい怒
涛が暗い岸の砂を噛んでいるだけだった。二人が、失望して茫然と立っていると、野犬が....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
の酒屋の角に立って見わたすと、番町の火は今や五味坂上の三井邸のうしろに迫って、怒
涛のように暴れ狂う焔のなかに西洋館の高い建物がはっきりと浮き出して白くみえた。 ....
「上海された男」より 著者:牧逸馬
まれて火棒《デレキ》を圧石《おもし》に付けた大きな物が舷側《サイド》から逆巻く怒
涛の中へ投込まれた。 その甲板に口笛を吹き乍ら微笑して、坂本新太郎は日本の土地....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
思えば、ふしぎな運命に、ひきずられてきたものである。雷洋丸が爆沈せられたあと、怒
涛荒れくるう、あのような大洋から、よくぞ救い出されたものである。 「ああ帆村荘六....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
いたろう。 名もわかっている。マアセルというのだ。 そしてこのマアセルは、怒
涛のように日夜「モナコの岸」へ押し寄せてくる常連の誰かれにとって、すこしでも彼女....
「能ぎらい/能好き/能という名前」より 著者:夢野久作
した実例は十字街頭の到る処に発見される。 千軍万馬を往来した将軍の風格、狂瀾怒
涛に慣れた老船頭の態度等に現わるる、犯すべからざる姿態の均整と威厳は、見る人々に....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
や杯にたいする擬人法であった、「汝、尚《とうと》き杯よ……」と。信仰は、不意の波
涛《はとう》のように魂から迸《ほとばし》り出るべきものでありながら、一つのこしら....
「楢ノ木大学士の野宿」より 著者:宮沢賢治
でそっちへ歩いて行った。 そこには低い崖《がけ》があり 崖の脚《あし》には多分は
涛《なみ》で 削《けず》られたらしい小さな洞《ほら》があったのだ。 大学士はにこ....
「想い出」より 著者:佐藤垢石
。やわらかい浅緑が、真昼の陽に輝いている。 酒匂の川尻の、砂浜にくだける白い波
涛は、快い響きを立てている。東から吹く初夏の風を帆にふくらませて、沖合はるか西の....
「淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
容の複雑な内金剛の山々が、果てしもなく広く隠れている。また、海の方には日本海の波
涛を白く砕いて、海金剛が奇観を集めているのだという。 だから、妙義や耶馬渓をみ....
「ちょうと怒濤」より 著者:小川未明
に輝きました。強い風は、無残にちょうを海の上に吹きつけました。そして、たちまち怒
涛は、ちょうをのんでしまったのです。 ――一九二二・三作――....