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液汁
「液汁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
液汁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
はり》に結晶したかの如く、動けるときや、流紋岩、蛇紋岩が鍋で煮られて、クタクタの
液汁に溶かされたようで、石を噛んで泡立つとき、玉霰飛び、綿花投げられ、氷の断片流....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
、貴方は生物学と外科とにすぐれた頭脳と腕とで、蟒の腹腔に穴をあけ、その消化器官の
液汁を、丹念に採集したのです。それは周到なる注意で今日まで貯蔵されていました。そ....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
一日後にやるがいい。三回目は二日後だ。四回目は三日後だ。午前十時から午後四時迄、
液汁の分泌が特に多い。そうして曇天降雨の時には、更に一層分泌が多い。乾燥の時低温....
「道標」より 著者:宮本百合子
うご》をこして、トロ、トロと濃い生活の感銘が蓄積されて来た。けれども、その生活の
液汁は、伸子の胸をすっとさせ、眼の裡を涼しくさせるような醗酵力はもっていなくて、....
「昭和の十四年間」より 著者:宮本百合子
文学の所謂健全性がその髄に飼っていてそこから蟻と蜚※《あぶらむし》のような関係で
液汁を吸いとっている時代の虫を、阿部の文学は彼流の知性のつかわしめのようなものと....
「あとがき(『宮本百合子選集』第七巻)」より 著者:宮本百合子
キでおどかすようにかきつけられていたPoison《ポイゾン》――毒ではなかった。
液汁は、芳醇とまではゆかないにせよ、とにかく長年の間くさりもしないで発酵していた....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
あった。それらの樹木が実《みの》らす果実はたいてい干乾《ひから》びていた。生命の
液汁はことごとく観念となって凝結していた。クリストフはそれらの観念の間に見分けが....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
くできたぜ。十樽《じったる》くらいかと思ってると十二樽もあるんだ。圧搾器のために
液汁《しる》が多く取れたんだ。――だが葡萄はまだ熟しちゃいなかったろうじゃねえか....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
観の脈管には現実赤い血潮が通っているのでなくて、単に思惟活動として、理性の稀薄な
液汁が流れているのみである」この紅い血潮は意志し、感じ表象する「全人」の立場から....
「女性の諸問題」より 著者:倉田百三
な、かわいた、平板な、冷たい石婦のような女になってはならぬ。生命の美と、匂いと、
液汁とを失っては娘ではない。だが牢記せよ、感覚と肉体と情緒とを超越して高まろうと....
「死と影」より 著者:坂口安吾
らは、あの男、この男と、代りばんこに泊り歩いて、店へ戻ると、ダタイの妙薬と称する
液汁をのみ、ゲーゲー吐いているのであった。 金のある時は、いつも、よそで遊んで....
「わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
つみ、その上へモグサを山ともりあげて燃すのである。黒色のウニのようなものが多分に
液汁を含んでいるから、それが燃えない限り、さのみ熱くはなく、熱くなると、やめると....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
部アフリカで発見された一種の植物の球根は丁度|蕪菁のような格好をしているが、その
液汁中には護謨を含み、これを圧搾して酒精で凝らせると二分の一プロセントくらいのゴ....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
な口を開いていて、そこから真紅の泉が、混々と湧き出して行くのである。しかも、その
液汁の重さのためか、素馨花の花冠が、次第に傾いて行って、やがて滴りはじめた、血滝....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
のみにても三百種の多きに上り、その菓物はそのまま市中に販がるるもの、あるいはその
液汁を搾りて酒と為し、あるいは煮てジャムとなし、あるいは干して乾かし以て市民に販....