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涸渇
「涸渇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涸渇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
つけていたが、彼女は真実三野村という男の死を哀れんでいるらしい。それならば情涙の
涸渇したと思っていたこの薄雲太夫の後身にもやっぱり人並の思いやりはあるのだ。ただ....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
ではないのである。私がもしあの服装でもしなければならぬとすれば、私の思想は一遍に
涸渇し、私の舌は忽ち硬ばって了うだろうと思われる。単に異様だというだけではない。....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
照りつけている陽脚に、かすかな埃りが舞いあがっているばかりで、地上はまるで汗腺の
涸渇した土工の肌のように、暑熱の苦悶に喘いでいるのだ! この太陽のじりじり焼き....
「立枯れ」より 著者:豊島与志雄
々の細かな規定などをもちだして、くどくどと説き立てるのだった。そして、共済基金の
涸渇から、貸出規定の改正などの点になると、彼は明らかに反動的な立場に身を置いてい....
「文学以前」より 著者:豊島与志雄
簡明なそれらである。 文学の素材のなかに、或は作者のなかに、情緒や感動や思想が
涸渇してきたとは、敢て断言出来ないだろう。然しそれらが文学として表現される時には....
「神話と青春との復活」より 著者:豊島与志雄
と自体が一の批判となることである。この批判作用が決定的役割をなす。それ故、萎縮し
涸渇した形象は、萎縮し
涸渇した創造であり、退嬰的な非建設的な形象は、退嬰的な非建....
「ジャングル頭」より 著者:豊島与志雄
内部にまでふみ込んでみるならば、そこも、恐らくはひどいジャングルであろう。情意の
涸渇、志操の頽廃、傲慢な功利主義と享楽主義。毒気ばかりが立ちこめて、清純な花の咲....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
られていた。自分に生を愛さしてくれたその美《うる》わしい芸術が、突然行きづまって
涸渇《こかつ》し地面に吸い込まれてしまいはすまいかと、びくびくしていた。クリスト....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
あるいはそれを望まない者は、流刑やまたは窒息的生活に処せられていた。天才は少しも
涸渇《こかつ》してはいなかったが、沈滞と破滅とに打ち任せられていた。クリストフが....
「憑きもの」より 著者:豊島与志雄
にはアドルムを用いて、頭脳の調節をはかろうとした。 それにしても、私の創造力の
涸渇は蔽うべくもなかった。危機を脱するために、幾度か、遂には毎日のように、節酒の....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
にか不調和だった。気持ちも不調和だった。彼は自分のうちに、制作に対するモチーフの
涸渇を感じていた。形態と色彩とを酷使する裏面には、強烈なモチーフが常に必要だった....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
ってはどうです。そうすれば洋酒の客はみなこちらへ来るから、あの店の財源はたちまち
涸渇する。それでは食料品の安売りも出来ないという順序でしょう』 どうだこの種あ....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
ない。とにかく私には元気がない。動くものがない。私の生命力といったようなものが、
涸渇してしまったのであろうか? 私は他人の印象から、どうかするとその人の持ってる....
「世界漫遊」より 著者:ダビットヤーコプ・ユリウス
酒盛になる。ドリスが色々な思附きをして興を添えてくれる。ドリスが端倪すべからず、
涸渇することのない生活の喜びを持っているのが、こんな時にも発揮せられる。この宴会....
「机前に空しく過ぐ」より 著者:小川未明
、其の詩人等を惜しみ、人間は、若く、美しい時分に死すべきものだ。年とって、感情が
涸渇し、たゞ利害のみに敏く、羞恥をすら感ぜぬようになって、醜悪の姿をいつまでも晒....