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「涼やか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

涼やかの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
水中に潜む渾沌未分の世界……「どうでもいいわ」……小初はすべてをぶん流したあとの涼やかさを想像した。小初の泣き顔の涙も乾いて遠くの葦の葉ずれが、ひそひそと耳にさ....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
おかしくなった。浅草に夜が来た。みんな活々と光る。楽隊は鳴りひびく。風はまことに涼やかで、私のおっぱいが一貫目もあるほど重い。感性の気違い。一目みただけで、この....
午市」より 著者:宮本百合子
ましょうよ、とも云いかねるその場の状態が、一層おせいの退屈を募らせた。こんな月の涼やかな夏の良夜を、狭い部屋に閉じ籠って、酒のにおいに当てられて過してしまうのは....
貞操問答」より 著者:菊池寛
」一気に、喋りまくられて、準之助氏は、呆れながらも、しかし悪い気持はしなかった。涼やかな娘らしい声と、邪気のない、一本気な心の底が、見通せるような女性なので、微....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
着まで、垢のつかない衣を着ていたということが、支度に退がる彼の心を、その時ふと、涼やかにさせていた。 身を開け放した姿で、小次郎は、突っ立っていた。 借りう....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
旅川周馬?」 こう口のうちで呟きながら、初めて瞑目をみひらいた法月弦之丞、その涼やかな眸には、何か強い記憶のものがよみがえっていた。 「はい、その周馬めでござ....
三国志」より 著者:吉川英治
られて阻めもできなかった。 すると、帝の御駕のすぐうしろから、 「ひかえろッ」涼やかに叱った者がある。 凜たる音声に、董卓も思わず駒をすこし退いて、 「何。....
三国志」より 著者:吉川英治
みは、よく彼の凝視にも耐えた。虚言のない我の顔を見よといわぬばかりである。やがて涼やかに答えていう。 「あなたは実に天運に恵まれた御方である。たとい袁紹は亡くて....
三国志」より 著者:吉川英治
、余人に命じておけばよいことも、大小となく自ら遊ばして、終日汗をたたえられ、真に涼やかに身神をお休めになる閑もないようにお見受け致されます。――かくてはいかなる....
私本太平記」より 著者:吉川英治
扇ヶ|谷様(上杉憲房)から、おことづてのお使いがございましたが」 「なんと」 「涼やかなお夜食でも上げて、語りたいこともある。御帰途を、立ち寄ってくれまいか」 ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
だった。昼にもまして、親しげに。 「どこぞ、話のできる所はないか。人目もなくて、涼やかな」 往来をそれて、初瀬川の川原へ下りた。橋の上には、宵の人影もまま過ぎ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ていたが、正成もまた、そうして来たのか、よろい下着にも、汗ジミのない白い襟もとを涼やかにのぞかせていた。 「河内どの。遅くはない。大詰のたたかいは、まず明日か。....
大谷刑部」より 著者:吉川英治
あの……ちょっとお伺いいたしますが」 「あ、何だね」 美しい女性を見ると、汗も涼やかに乾くように、足軽たちは各※息を休めた。 「ただ今、ここを通りました御軍勢....
黒田如水」より 著者:吉川英治
た。慇懃にすすめていう。 「別間のお支度がととのいました。ここよりはあちらの方が涼やかでもございますから、お移り遊ばしましては如何で」 「では、ご案内をたのもう....