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「涼台〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

涼台の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海の使者」より 著者:泉鏡花
なしに、何となく夕暮の静かな水の音が身に染みる。 岩端や、ここにも一人、と、納涼台に掛けたように、其処に居て、さして来る汐を視めて少時経った。 ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
と式部小路を抜ける位。 月夜烏もそれかと聞く、時鳥の名に立って、音羽|九町の納涼台は、星を論ずるに遑あらず。関口からそれて飛ぶ蛍を追ざまに垣根に忍んで、おれを....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
めたる連中は、これをお通が召使の老媼に語りて、且つ戯れ、且つ戒めぬ。 毎夕|納涼台に集る輩は、喋々しく蝦蟇法師の噂をなして、何者にまれ乞食僧の昼間の住家を探り....
」より 著者:島崎藤村
から三吉は姪を集めて、遠く生家の方に居るお雪の噂を始めた。表の方の農家でも往来へ涼台を持出して、夏の夜風を楽しむらしかった。ジャン拳で負けて氷を買いに行ったお延....
冬の花火」より 著者:太宰治
つまらなそうに見ていたわ。やっぱり花火というものは、夏の夜にみんな浴衣を着て庭の涼台に集って、西瓜なんかを食べながらパチパチやったら一ばん綺麗に見えるものなので....
雑木林の中」より 著者:田中貢太郎
ような家が眼の前にあった。そこは路の幅も広くなっていた。一|間くらいの入口には納涼台でも置いたような黒い汚い縁側があって、十七八の小柄な女が裁縫をしていた。それ....
すみだ川」より 著者:永井荷風
てすぐにも今戸へ行くつもりで格子戸《こうしど》を出るのであるが、その辺《へん》の涼台《すずみだい》から声をかけられるがまま腰を下《おろ》すと、一杯機嫌《いっぱい....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
寄った。夏の夜の事で、その辺の芸者家ではいずれもまだ戸を明けたまま、芸者は門口の涼台《すずみだい》に腰をかけて話をしているのを、男はなれなれしく、 「京葉さんは....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
あげしお》と一緒に押上げてくる。洗髪、素足《すあし》、盆提灯《ぼんちょうちん》、涼台《すずみだい》、桜湯《さくらゆ》――お邸方や大店《おおだな》の歴々には味えな....
午市」より 著者:宮本百合子
このように南京玉の瓔珞をつけた燈籠をも知ったのである。 矢張り、どこかの茶屋の涼台の有様ででもあったのだろう。川を見下す涼しそうな広縁に、茶っぽい織物の大きな....
大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」より 著者:宮本百合子
葬式の為)始めて東京大震災 不逞鮮人暴挙の号外を見つけ驚きかえる。自分等葡萄棚の涼台で、その号外を見、話をきき、三越、丸の内の諸ビルディング 大学 宮城がみなや....
伸子」より 著者:宮本百合子
して、見晴し台へ行って見ると、射的場の前に、若者が群って笑い興じていた。自然石の涼台に晴れやかな様子で一組の夫婦が前の広場で追っかけっこしている子供を見ている。....
私の覚え書」より 著者:宮本百合子
の水廻りに出かける。夕方になると、その雨もあがった。 葡萄棚の下に拵えた私共の涼台に、すぐ薄縁の敷るほどの雨量しかなかった。其れにしても、久しぶりで雨あがりの....